解説
同じ顔を持つ双子の兄弟の数奇な運命が招く復讐劇を描いた怪奇サスペンス。監督は「TOKYO FIST」の塚本晋也で、脚色・撮影監督・編集も務めている。原作は江戸川乱歩の短篇「双生児~ある死刑囚が教誨師にうちあけた話~」。主演は、「中国の鳥人」の本木雅弘と映画初出演のりょう。第56回ヴェネチア国際映画祭、モントリオール国際映画祭出品作品。
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この作品のレビュー
ユーザーレビュー
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ミャーノフ大佐
原作が江戸川乱歩ということで、乱歩のおどろおどろしい世界観をよく描けている。ただ、映画の最初、見始めた頃は寺山修司か、もう少し進んでいくと大駱駝艦か、と思わせるような絵の作りになっている。塚本晋也は私に近い年齢で、東京生まれだから寺山や唐十郎、大駱駝艦や山海塾に影響を受けていてもおかしくない。それに麿赤兒が出ているんだから。(でも、眉を落とす必要なないんじゃない?)
映画の前半、双子のもう片方が登場するまでは、映像とカットと音楽で、いかにも安っぽいホラー映画みたいに見せているなあ、と思っていたんだが、双子の片方が登場して、もう一人と入れ替わるところから面白くなっていった。いかにも乱歩らしい筋立てで、それを面白く映像化している。貧民街のカラフルな映像は寺山の影響もあるか。
出演者もいわゆるスターは本木雅弘と藤村志保(よく出たな)くらいで、後は70年代の癖のある役者たちや、90年代くらいの癖のある役者たちの勢揃いだ(永瀬正敏が出ていない)。こんなくせ者揃いをよく演出できた物だ。塚本晋也の交友関係の広さを見せてもらった。
「双生児 GEMINI」のストーリー
明治末期。大徳寺醫院の跡取りとして若くして地位も名誉も手にした雪雄は、りんという美しい妻を娶り、まさに順風満帆の人生を歩みつつあった。ところが、そんな雪雄に突然の不幸がふりかかる。父・茂文と母・美津枝が相次いで不思議な死に方をし、自らも自分にまとわりつく謎の視線に悩まされるようになったのだ。そんなある日、ひとりで庭に出ていた雪雄は、自分と全く同じ顔をした男に古井戸に閉じ込められてしまう。雪雄の振る舞いを完璧に身につけていたその男は、何食わぬ顔で雪雄になりすますと、雪雄として生活を始める。実はこの男、脚に醜い痣があったことから、生まれてすぐに川に捨てられた雪雄の双子の片割れだったのである。乞食の角兵衛に拾われた男は、捨吉と名づけられ貧民窟で育ったが、自分の生家が立派な医院であったことを知り、積年の怨みを晴らすべく両親を殺害し、雪雄に代わって裕福な生活を手に入れることを思いついたのである。しかし、そんな捨吉の企みに気づいた者がいた。りんである。彼女は捨吉が貧民窟で愛した女であったが、角兵衛に勘当されて姿を消していた捨吉の帰りを待ちきれず、彼にそっくりな雪雄と結婚していたのだ。捨吉との再会を喜ぶりん。だが、捨吉は自分の正体をりんに明かさなかった。それが、自分を裏切ったりんを苦しめる何よりの復讐だと思ったからだ。こうして、何もかもを自分の手中に収めた捨吉。だが、悪運もこれまで。彼は井戸の底から這いあがった雪雄に殺されてしまう。その後、雪雄はりんとの間に子供をもうけ、以前と変わらぬ生活を送るが、ただひとつ以前の彼と違っていたのは、蔑視していた貧民窟の回診に出かけるようになったことだった。
「双生児 GEMINI」のスタッフ・キャスト
スタッフ |
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キャスト | 役名 |
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「双生児 GEMINI」のスペック
基本情報 | |
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ジャンル | サスペンス・ミステリー |
製作国 | 日本 |
製作年 | 1999 |
公開年月日 | 1999年9月15日 |
上映時間 | 83分 |
製作会社 | セディックインターナショナル=丸紅(製作協力 海獣シアター) |
配給 | 東宝 |
レイティング | 一般映画 |
アスペクト比 | アメリカンビスタ(1:1.85) |
カラー/サイズ | カラー/ビスタ |
音量 | ドルビーSR |
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