「トゥルーへの手紙」のストーリー
本作の制作背景にあったのは、9・11アメリカ同時多発テロ。その日、グランド・ゼロがウェバーのオフィスや住居の目と鼻の先にあり、旅先で愛犬の消息を気遣うという恐怖の体験が発端だった。「この事件以来、すべては変わってしまった」とウェバーは言う。彼が飼っているゴールデン・レトリバーの末っ子、トゥルーに宛てた手紙という形式をとり、それを読みあげるというスタイルで、自分自身や隣人たちのドラマを綴ってゆく。登場するのは、トゥルーをはじめとするウェバーの愛犬たち、猫のタイソン、像のタイといった動物たち。犬と人間の友愛をテーマとした往年の名作ドラマ『名犬ラッシー』や『名犬リンチンチン』のフッテージが所々にインサートされる。一方で、ミッドウェイ海戦での日本の戦艦や、おびただしい数の戦闘機撃墜の記録、ベトナム戦争で逝った報道写真家ラリー・バローズの思い出、イラク空爆の映像などのイメージも混ぜ合わされる。ほか、伝説的サーファーのハービー・フレッチャー。9.11で叔父を亡くした農場の一家。ホーム・ムービーの褪色した映像に残された、プロヴァンスで過ごすダーク・ボガードと彼の恋人(とコーギー犬)。歌手であり女優のマリアンヌ・フェイスフルは詩を抒情豊かに朗読し、大の愛犬家でもある女優エリザベス・テイラーと彼女の大ファンであり、エイズで亡くなったウェバーの友人との逸話も収録されている。