解説
突然の事故で夫を亡くした中年女性とその長男の旅を描く。製作はデイヴィッド・サスキンドとオードリー・マース、監督は「ミーン・ストリート」の新人マーティン・スコセッシ、脚本はロバート・ゲッチェル、撮影はケント・ウェイクフォード、音楽はリチャード・ラサール、編集はマーシア・ルーカス。出演はエレン・バースティン、クリス・クリストファーソン、ビリー・グリーン・ブッシュ、ディーン・ラッド、レリア・ゴルドーニ、レーン・ブラッドバリー、ヴィック・タイバック、アルフレッド・ルッターなど。
映画館で観る
配信で観る
TVで観る
「アリスの恋」のストーリー
32歳のアリス(エレン・バースティン)は、突然未亡人になってしまった。夫のドン・ハイヤット(ビリー・グリーン・ブッシュ)がトラックの運転中に事故死したのだ。必ずしも愛してはいなかったけれども、ショックだった。アリスは、12歳になる一人息子のトム(アルフレッド・ルッター)に、ソコロを引き払って、故郷のモンタレイへ帰り、子供のときからの夢だった歌手として出直したいといった。ただ葬式で所持金を使い果たしていたので、旅費は途中のバーなどで歌いながら、稼がなければならなかった。当分、モーテル暮しが続くかと思うと、トムはあまり気乗りしなかったが、母親がそう決めた以上、むげに反対もできなかった。西へ向かって、親子の旅が始まった。アルバカーキで、アリスは歌の仕事にありついた。ほっとすると男が近づいてきた。ベンという若者だった。デートするようになり、帰りも遅くなった。トムはモーテルで一人ぽっち。当然アリスへの反抗心が頭をもちあげてきた。やがてベンの妻リタ(レーン・ブラッドバリー)が現われ、ベンの狂暴な正体が判明した。ベンは手のつけようのないサディストで、リタをしたたか殴りつけた。動転したアリス親子は、とるものもとりあえず、荷物をまとめて町を飛び出した。せっかく、いい仕事が入ったというのに。ツーソンまできたが、歌の仕事はなく、やむなくアリスはウエイトレスとして働くことにした。そこではデイヴィッド(クリス・クリストファーソン)という男が、親しげに声をかけてきたが、アリスは心を許さなかった。それでも彼は店によくきてトムと仲良くなり、自分の農場に連れていった。その縁で、やがてアリスも農場へ行くようになり、デイヴィッドとの間にロマンスが芽ばえた。トムは、デイヴィッドを嫌いではないが、母親と仲良くされると、なぜか嫉妬心がわく。トムの慰めは、おしゃますぎる少女オードリー(ジョディ・フォスター)だけだった。一緒にワインを呑んだり、万引きしたりして遊び回った。とうとうある日、トムはデイヴィッドに徹底的に反抗した。どうにも素直さのないトムに腹を立てたデイヴィッドは、思わず彼に手をあげてしまった。驚いたのはアリスだった。どんな理由があろうと、自分の息子への暴力は許せなかった。アリスはデイヴィッドに絶交を告げ、トムのあとを追った。しかし、そんなアリスにも、トムは悪態をついて、どこかにいってしまった。その晩、アリスの心配をよそに、トムはとうとう帰ってこなかった。翌朝、警察からの電話で、トムが事もあろうに酒の呑みすぎで正体不明で補導されていることを知り、引き取りに行った。それからアリスは、昨晩はデイヴィッドに言い過ぎたと思ったけれども、今さら謝ることができず、レストランにやってきたデイヴィッドを冷たくあしらってしまった。とうとうアリスは故郷へ帰ることを決心した。だが、デイヴィッドが店にやってきて、みんなの前でアリスを抱きしめ、結婚を申し込んだ。もちろん、アリスに異存はない。トムも心から祝福してくれるだろう。アリスは、今まで感じたことのない幸福感をかみしめていた。
「アリスの恋」のスタッフ・キャスト
スタッフ |
---|
キャスト | 役名 |
---|

「アリスの恋」のスペック
基本情報 | |
---|---|
ジャンル | ドラマ |
製作国 | アメリカ |
製作年 | 1974 |
公開年月日 | 1975年11月22日 |
上映時間 | 112分 |
製作会社 | デイヴィッド・サスキンド・プロ作品 |
配給 | ワーナー・ブラザース映画 |
アスペクト比 | アメリカンビスタ(1:1.85) |
カラー/サイズ | カラー/ビスタ |
関連するキネマ旬報の記事
関連記事一覧 | |
---|---|
1975年10月下旬号 | キネ旬試写室 アリスの恋 |
1975年11月上旬号 |
グラビア 「アリスの恋」 特集 「ハリーとトント」「アリスの恋」 〈座談会〉 「ハリーとトント」と「アリスの恋」は何を語る映画なのか・・・ 倉本聰×成島東一郎×野村芳太郎×山田太一 特集 「ハリーとトント」「アリスの恋」 「ハリーとトント」の旅の意味は? 特集 「ハリーとトント」「アリスの恋」 P・マザースキー・コメディの人間像 特集 「ハリーとトント」「アリスの恋」 分析採録 ハリーとトント 特集 「ハリーとトント」「アリスの恋」 アメリカの“広さ”の中の「アリスの恋」 特集 「ハリーとトント」「アリスの恋」 もうひとりの映画狂 M・スコルセーゼ 特集 「ハリーとトント」「アリスの恋」 分析採録 アリスの恋 |
1975年12月上旬号 |
キネ旬試写室 暗闇にベルが鳴る 映画批評 アリスの恋 |
1976年1月上旬新年特別号 |
映画批評 暗闇にベルが鳴る 外国映画紹介 アリスの恋 |