「私は、マリア・カラス」のストーリー
音楽史に永遠に輝く星となったオペラ歌手マリア・カラス。世界にひとつの歌声と、高度なテクニックを自在に操る歌唱力、役柄とひとつになる女優魂、さらにエキゾティックな美貌と圧倒的なカリスマ性で、観衆を虜にした不世出のディーヴァだ。だが1977年9月、パリの自宅で心臓発作により死去。享年53。その人生は壮絶なものであった……。カラスが書き残した未完の自叙伝の中の文章と未公開の手紙を、ファニー・アルダンが命を吹き込むように朗読する。そこには、連日のようにゴシップ紙の一面を飾った数々のスキャンダルの真相と、カラスの心の叫びが切々と吐露されている。28歳年上の男性との結婚、大統領やセレブも駆け付けたローマ歌劇場の舞台を第1幕で降りたことへの激しいバッシング、カラスに“クビ”を宣告したメトロポリタン歌劇場の支配人とのバトル、ギリシャの大富豪オナシスとの大恋愛と夫との離婚、愛し合っていたはずのオナシスが暗殺されたアメリカ大統領ケネディの未亡人ジャクリーンと結婚したことを新聞で知るという衝撃の顛末……。そこには、スキャンダルやバッシングの嵐の中、プロフェッショナルとしての信念に、倒れても歌うことを諦めなかった壮絶な“カラス”と、ひとりの女性として愛を切望し、心乱され苦悩しながらも全てを受け入れようと変化していく“マリア”の姿があった。さらに、自宅や友人宅でリラックスする素顔や豪華クルーズを楽しむ姿が8ミリや16ミリに収められたプライベートフィルム、貧しかった少女時代などカラスの引き出しの奥から出てきたような個人的な写真、熱狂的なファンが無許可で撮影したパフォーマンス、親しい関係者やファンから入手した音声テープ、TV放映でカットされたインタビューなども初公開。