「ラ・バンバ」のストーリー
北カリフォルニア、1957年夏。果実農場の従業員リッチー・バレンズエラ(ルー・ダイアモンド・フィリップス)は、いずれは好きなギターを生かした音楽の道へ進むことを夢みる16歳の少年。そして、幼い妹たちを支える母コニー(ロザンナ・デ・ソート)に一軒屋をプレゼントしたいと思っている。ある日、詐欺師で刑務所に入っている兄のボブ(イーサイ・モラレス)が刑期を終えて帰って来た。父親が違い、性格も対照的な2人だったが、兄弟仲は良かった。が、女に手の早いボブは、早速、リッチーのガールフレンドのロージー(エリザベス・ペーニャ)のバージンを奪ってしまう。やがて一家は、南カリフォルニアヘ移った。ボブと離れがたいロージーも一緒だ。リッチーの新しい学園生活が始まった。ブロンドの可愛い少女ドナ(ダニエル・フォン・ゼルニック)が彼のアイドルとなった。リッチーはロックの練習に熱を入れ、地元のバンドにも入ることができた。やがてッリッチーとフライング・ギターズ」という自分のバンドを結成、町の体育館でデビューコンサートを開くが、酔っぱらったボプのために大乱闘が生じ、コンサートはメチャメチャになる。しかし、その演奏を聞いていたデルファイ・レコードのプロデューサー、ボブ・キーン(ジョー・パントリアーノ)は、数日後、レコード吹き込みをリッチーに申し込んだ。小躍りするリッチー。芸名をリッチー・バレンスとし、デビュー作はドナへの愛を切々と謳い上げたものだったが、実生活の2人の仲は、彼女の父の存在で思うようにいかず、また、ボブも弟の成功を横目に荒れていた。そのデビュー曲、「カモン・レッツ・ゴー」を皮切りに、「ドナ」「ラ・バンバ」と大ヒットを記録、今やリッチーはロックのニュースターとして大変な人気者となり、母にも待望の一軒家をプレゼントできた。リッチーはファミリーとともにクリスマスを過ごした後、バディ・ホリー、ビッグ・ボッパーらとコンサート・ツアーに旅立った。ツアーの途中、リッチーは仲たがいしている兄に電話を入れた。それが、家族がリッチーの声を聞いた最後となった--。1959年2月3日、若きロックンローラーたちを乗せた飛行機がレーダーの航跡から消えた。リッチー・バレンス、17歳。わずか8ヵ月でロックの頂上を極めた少年の、あっけない死だった。