ジガルタンダ・ダブルXの映画専門家レビュー一覧

ジガルタンダ・ダブルX

1970年代のインド南部が舞台のアクションコメディ。キルバイは警察官採用試験に受かるが、殺人事件に巻き込まれ投獄される。警察官への復帰の条件として、ギャングの親分シーザーの暗殺を命じられた彼は、映像作家と身分を偽り、シーザーに近づくが……。監督は、「ピザ 死霊館へのデリバリー」のカールティク・スッバラージ。
  • 文筆業

    奈々村久生

    「マッド・マックス」的な暴力と狂気に支配されたバイオレンス・アクションが、腐敗した国家権力とそれに癒着した警察組織の政治ドラマと連結し、密猟される象や少数部族を巻き込んだ復讐劇へと展開。まさに銃をカメラに持ち替えてシュートする命懸けの闘いで、撮影を名目にあらゆるリスクを冒す制作現場特有の狂った論理もメタ的に内包。振付師出身であるラーガヴァー演じるギャングのダンスは圧巻で、「イングロリアス・バスターズ」を彷彿とさせるクライマックスも映画愛に満ちている。

  • アダルトビデオ監督

    二村ヒトシ

    血を見ると気絶する男が暗殺者になる。西部劇マニアのヤクザが自分主演の映画を撮れと無茶振りし、撮影方法を何も知らない男は巨匠になりすまして監督しなければならない。かつて聖なる象を殺してしまい村を捨てた男が帰郷して、象を密猟する邪神の如き森の民と悪徳警官との三つ巴の抗争に巻き込まれる。ここまでですでに面白そうな映画3本分のシノプシスが詰め込まれてるのに、最後にインド現代史の闇をあばく政治ドラマになってマジの感動で泣かされるなんて誰が想像しただろうか。

  • 映画評論家

    真魚八重子

    イーストウッド好きなギャングの親分に、サタジット・レイ門下と偽った警官が近づき暗殺を狙う。このシネフィル的設定は問答無用に惹かれるし、8ミリカメラで撮っていようとリアリズムなど求めない。冷酷な政権側と象牙を狙った密猟の問題なども絡み、複雑だがわかりにくくはない。政治を前にした民間人の無力さという悲劇性も、映画には昔からあったやりきれなさだ。ただ主人公が強面で愛嬌が足りないことや、続篇を匂わせる物語ゆえに本作だけで判断がしきれない惜しさがある。

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