フライト・リスクの映画専門家レビュー一覧

フライト・リスク

「ブレイブハート」で作品賞、監督賞ほか5冠受賞のメル・ギブソンが、「ハクソー・リッジ」以来9年ぶりに監督を手掛けた航空機アクション・ムーヴィー。アラスカの上空10,000万フィートを行く飛行機の中で、パイロットと保安官補、重要参考人たちの間で命懸けの騙し合いが繰り広げられる。出演は謎を帯びたパイロットをマーク・ウォールバーグ、保安官補ハリスを『ダウントン・アビー』のミシェル・ドッカリー、重要参考人のウィンストンを「スパイダーマン3」のトファー・グレイス。
  • 映画評論家

    鬼塚大輔

    トランプによって映画特使に任命されたメル・ギブソンがハリウッドの操縦桿を握るというのには(他2名の人選も含め)米映画界にとってリスクしか感じられないが、ガッチリとした演出の中にトレードマークである人体破損と執拗な暴力をしっかり入れ込んでくるあたり、監督としての力量は確かだ。マーク・ウォールバーグは、ひさびさとなる悪役を気持ち良さげに演じているが、これはやはりギブソンが自分で演じていれば、もっと面白く、さらに怖くなったはず。

  • ライター、翻訳家

    野中モモ

    「こういうの90年代によく観た気がする」コンパクトなアクション映画。眼下に広がる雪と氷に覆われたアラスカ山脈は劇場の大画面に映えることだろう。そのうえ4DX上映もあるの!? 同じ作品でも鑑賞する環境次第でまったく違う体験になりそうだ。主な登場人物3人のうち最もヒロイックに銃を構える役が女性に配されているあたりは今世紀の作品らしい。とはいえメル・ギブソンがゴリゴリの宗教保守として問題行動を重ねてきたことを思うと、頭を空っぽにして楽しもうとしても苦みが残る。

  • SF・文芸評論家

    藤田直哉

    これまでの、こってりしたメル・ギブソン監督作品は嫌いじゃないのだが、今回は不発。軽飛行機の中、主要人物は三人だけ、リアルタイムに近い時間の流れで、緊急事態に観客を臨場させようとするのは分かるし、面白いが、物語の展開に驚きが乏しかった。なにより、全体を通した(現代の政治状況を思わせる)「不信と信頼」の主題系に対する落とし前、解決策の提案がないのがあまりに殺風景で、投げやりな印象を受ける。荒涼と孤独こそが現在の実存的リアルだとしても。

  • 映画評論家

    鬼塚大輔

    トランプによって映画特使に任命されたメル・ギブソンがハリウッドの操縦桿を握るというのには(他2名の人選も含め)米映画界にとってリスクしか感じられないが、ガッチリとした演出の中にトレードマークである人体破損と執拗な暴力をしっかり入れ込んでくるあたり、監督としての力量は確かだ。マーク・ウォールバーグは、ひさびさとなる悪役を気持ち良さげに演じているが、これはやはりギブソンが自分で演じていれば、もっと面白く、さらに怖くなったはず。

  • ライター、翻訳家

    野中モモ

    「こういうの90年代によく観た気がする」コンパクトなアクション映画。眼下に広がる雪と氷に覆われたアラスカ山脈は劇場の大画面に映えることだろう。そのうえ4DX上映もあるの!? 同じ作品でも鑑賞する環境次第でまったく違う体験になりそうだ。主な登場人物3人のうち最もヒロイックに銃を構える役が女性に配されているあたりは今世紀の作品らしい。とはいえメル・ギブソンがゴリゴリの宗教保守として問題行動を重ねてきたことを思うと、頭を空っぽにして楽しもうとしても苦みが残る。

  • SF・文芸評論家

    藤田直哉

    これまでの、こってりしたメル・ギブソン監督作品は嫌いじゃないのだが、今回は不発。軽飛行機の中、主要人物は三人だけ、リアルタイムに近い時間の流れで、緊急事態に観客を臨場させようとするのは分かるし、面白いが、物語の展開に驚きが乏しかった。なにより、全体を通した(現代の政治状況を思わせる)「不信と信頼」の主題系に対する落とし前、解決策の提案がないのがあまりに殺風景で、投げやりな印象を受ける。荒涼と孤独こそが現在の実存的リアルだとしても。

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