パディントン 消えた黄金郷の秘密の映画専門家レビュー一覧

パディントン 消えた黄金郷の秘密

ロングセラー児童小説『パディントン』シリーズを実写映画化第三弾。言葉を話す紳士的なクマ“パディントン”を主人公にした世界的人気児童小説を実写映画化したシリーズ第3弾。ブラウン一家と家族旅行でペルーを訪れたパディントンが、失踪したルーシーおばさんを探し、インカの黄金郷が存在するジャングル奥地に冒険の旅へ。出演は「ダウントン・アビー」のヒュー・ボネヴィル、「マイ・ブックショップ」のエミリー・モーティマー。
  • 映画評論家

    川口敦子 |パディントン 消えた黄金郷の秘密

    前2作の監督ポール・キングが製作総指揮・共同脚本にまわったシリーズ最新作。ミュージック・ヴィデオやCMで腕を揮ったというドゥーガル・ウィルソンのメガホンの下、従来の英国性への目配せやちょっとダークな尖りを手放し安全無害なファミリー映画に収まった。故郷ペルーをめざすパディントンとブラウン一家の冒険はヘルツォーク、インディ・ジョーンズ、「サウンド・オブ・ミュージック」とクラシックへのわかり易い言及もまた安全無害。A・バンデラスの1人6役ももひとつそこそこ。

  • 批評家

    佐々木敦 |パディントン 消えた黄金郷の秘密

    明らかに普段は絶対に観ないタイプの映画だが、大変楽しめた。設定も展開も人物も結末も、すべてがファミリー向け娯楽映画の王道ではあるが、それゆえの絶対的な安心感と、ツボを押さえまくった見せ場のワクワク感に満ちている。作り手たちのサービス精神に全身を委ねられるのがこの種の映画の存在意義だろう。客演のアントニオ・バンデラスも良いが、謎の修道女役のオリヴィア・コールマンが素晴らしい。前二作は観ていないのだが(観てなくてもまったく問題なし)、遡ってみようかな? 

  • ノンフィクション作家

    谷岡雅樹 |パディントン 消えた黄金郷の秘密

    少々強引で方向を譲らない主人公の性格が気に障るのは、観る私の問題だろう。前二作と違いペルーまで出かける奇矯な一家と、そこで出遭う自由な人たちにジャングルという限定された空間は、熊の擬人化という不自然さを隠す役割を果たす。インカ帝国の黄金伝説と被せて冒険譚となり、都市では気になった不都合さも意識させない。だが、喋る二足歩行の熊が何者なのか。マイノリティーとしての表象を意味するのか。単なる希少種か。市民の姿を映す狂言回しか。熊の正体は、未だに理解不能だ。

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