WEEKEND ウィークエンド(2011)の映画専門家レビュー一覧
WEEKEND ウィークエンド(2011)
ゲイカップルの週末のゆきずりの恋を描くラブストーリー。監督はアンドリュー・ヘイ。出演はトム・カレン、クリス・ニューほか。2012年9月14日より、東京・南青山スパイラルホールにて開催された第21回東京国際レズビアン&ゲイ映画祭にて上映。
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映画評論家
小野寺系
たった2日間の出会いなのに、一生思い返すことになるだろう恋……。少なくない数の人々に覚えのある経験や感情を、圧倒的なリアリティで主観的に切り取っている。だが最も感情が盛り上がる場面で周囲から水を差されるという状況を描くことで、この作品はシンプルな恋愛映画でいられない悲しみと緊張を常に背負い、ゲイを嘲りの対象としてきた無理解な社会を告発する意味合いをも持つことになる。表現が押しつけがましくないので、見る者次第で感想が異なるだろう、鏡のような作品だ。
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映画評論家
きさらぎ尚
このアンドリュー・ヘイという監督、人の心の内を描くのがうまい。実力のほどは前作で証明済みだが、それら以前に撮ったこの作品に才能の片鱗を見て取れるのが嬉しい。主人公の二人はゲイなのだが、差別や偏見をテーマにしていないところが斬新。自分のセクシュアリティーと自分自身がどう折り合って生きるかの問題を、二人が交わす偽りのない濃密な会話で、週末の数日間に凝縮するのだ。アパートから帰っていく相手を見送るショットが美しい。ラストの駅のエピソードは忘れがたい。
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映画監督、脚本家
城定秀夫
ゲイバーで出会った男二人がセックスして、マリファナ吸って、お喋りして、またセックスして、コカインやって、酒飲んで、またまたセックスしてお別れする二日間の物語は、退屈といえば退屈なんだけど、空気感の抽出や画の切り取り方が至極的確ゆえに心地よく観ていられるし、行為の直接描写にさほど尺を割いていないにもかかわらずセックスシーンの生々しさは特筆もので、毛むくじゃらの腹に発射された精液を気だるく拭き取る事後の仕草などには妙にゾワゾワさせられてしまった。
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