俳優 亀岡拓次の映画専門家レビュー一覧

俳優 亀岡拓次

演劇ユニット『TEAM NACS』の一員で「新宿スワン」他に出演する安田顕を主演にした、「ウルトラミラクルラブストーリー」の横浜聡子監督6年ぶりの長編。地味な生活を続ける脇役俳優が恋をしたことから、彼の人生が動き始める。パフォーマンスグループ『鉄割アルバトロスケット』を主宰する戌井昭人の同名小説を原作にしている。主人公が恋する居酒屋の若女将を「グッモーエビアン!」の麻生久美子が、大女優を「魂萌え!」の三田佳子が演じる。また山崎努、新井浩文、染谷将太、映画監督の大森立嗣が主人公を起用する監督たちとして出演している。劇場公開に先駆け、第28回東京国際映画祭アジアの未来部門で2015年10月25日、30日に上映された。
  • 評論家

    上野昻志

    傑作! 疑う人は2回見るべし。まず当然の前提として、俳優である亀岡拓次という人間のありようが、リアルに描かれていること。さらに、彼に関わる人たち、麻生久美子をはじめ、三田佳子、宇野祥平らが、それぞれの場で生き生きと輝いていること。だが、そこまでなら佳作の域に留まる。本作の凄いところは、そのレベルを超えて、虚と実が不断に入れ替わり、あたかも虚実の曼陀羅図になっていることである。それは、何者かを演じ続ける俳優の業であると同時に、人間の業でもある。

  • 映画文筆系フリーライター、退役映写技師

    千浦僚

    良い! 私の友人には本作の安田顕演じる亀岡にそっくりの俳優が三人いるが、そういう野郎どもの素敵さがモロに表現されててココロ鷲?みにされた。そしてもっと普遍的な人と世の中も良い捉え方で描く。ミッキーマウシング的な大友良英の音楽からして横浜聡子監督の最もウェルメイドな映画だがその個性は失われてはいない。ヴィットリオ・ストラーロの撮影が面白くカッコイイというのと同じ意味で、撮影鎌苅洋一と照明秋山恵二郎らスタッフは良い仕事をしていた。観られるべき作品。

  • 文筆業

    八幡橙

    横浜聡子監督作で、主演が安田顕。彼が演じる亀岡拓次は日々映画の現場を飛び回る“最強の脇役”俳優……ということで、鑑賞前から期待値が上がり切っていたせいか、「もう少し面白くなり得たのでは」という思いが拭えず。役に入っている時だけイキイキして、素の時間はぼーっと腑抜けている、という俳優像は理解できるが、ならばもうちょっと振り切った演技バカ、あるいは映画バカとして描いてもよかったのでは。ダメ男の最強ミューズとして夢を与え続ける麻生久美子が、今回もいい。

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