ジェーンの映画専門家レビュー一覧

ジェーン

主演のナタリー・ポートマンが製作も務めた西部劇。夫ハムが悪名高いギャングのビショップに撃たれ、瀕死の状態に。狙った獲物は逃さないビショップから家族を守るために、妻ジェーンは南北戦争の英雄である元恋人ダンに助けを求め、銃を手に戦う決意をする。監督は「ウォーリアー」のギャヴィン・オコナー。強欲なビショップを「スター・ウォーズ」シリーズのユアン・マクレガーが、ジェーンに手を差し伸べるかつての恋人を「ブラック・スキャンダル」のジョエル・エドガートンが演じる。
  • 翻訳家

    篠儀直子

    この物語のなかでジェーンの存在は「解かれるべき謎」なのだから、ダンの行動と感情で映画を駆動させていくほうが理にかなっているのに、なぜかジェーンを主役然とさせることに汲々としているため、映画を豊かにする可能性のあった要素があらかじめ全部つぶされてしまう。どうしてもジェーンを主役にしたいなら、プロットの構造を根本的に見直すべきかと。とはいえ西部劇のアイコニックな風景は目に楽しく、家に立てこもって闘う大詰めの場面は、闇と火、音響の工夫がなかなか面白い。

  • 映画監督

    内藤誠

    ナタリー・ポートマンがみずから製作・主演した西部劇。ガンさばき、砂塵をあげて走る馬、南北戦争後の街の荒れ具合など、古いファンも満足する仕上がり。ジェーンといえばドリス・デイが演じた「カラミティ・ジェーン」を思い出すけれど、母になってから1作目のポートマンも、家族のために生きる西部の強い女を汗と泥にまみれて力演。軍隊帰りでアルコール依存症の元恋人を演じるジョエル・エドガートンのしぶい雰囲気に対して、ユアン・マクレガーが冷酷な悪役を楽しそうに怪演した。

  • ライター

    平田裕介

    女性が主人公の西部劇というと「華麗なる対決」や「バンディダス」みたいな艶っぽいタイプが多い。それはそれで良いのだが、こうしたストイックなタイプが出てくるとやはり嬉しいもの。しかも、なにかと耐えて逃げるしかなかったであろう当時の女たちの憤怒も描いていて◎。それでもかなりメロドラマしているし、予定調和な展開でもあるが、男がヒロイックに活躍してきた従来の西部劇もそうだったのだから問題なし。ドンパチは地味だが、釘入り火炎瓶を使った大殺戮絵図は素晴らしい。

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