インフェルノ(2016)の映画専門家レビュー一覧

インフェルノ(2016)

ダン・ブラウン原作、ロン・ハワード監督によるミステリー映画「ダ・ヴィンチ・コード」「天使と悪魔」に続くシリーズ第3弾。宗教象徴学者ラングドンは、ウィルスで人類滅亡をもくろむ生化学者ゾブリストがダンテの叙事詩『神曲』地獄篇に隠した暗号に挑む。出演は、「ブリッジ・オブ・スパイ」のトム・ハンクス、「博士と彼女のセオリー」のフェリシティ・ジョーンズ、「二ツ星の料理人」のオマール・シー、「めぐり逢わせのお弁当」のイルファーン・カーン。
  • 翻訳家

    篠儀直子

    今回のラングドン教授は事件の謎だけでなく「なぜ自分が事件に巻きこまれているのか」という謎も解かねばならず、理由もわからぬまま複数の組織に追われまくる「北北西に進路を取れ」状態。だから張り切ったというわけでもないだろうけど、このグリーングラスみたいな編集はどうなのかしら。頭脳派007映画みたいな趣もあって(詳述は避けるが、D・クレイグ主演の某作品がずっと思い出された)イルファン・カーン演じる役に、最良のボンド映画悪役のようなユーモラスな魅力あり。

  • 映画監督

    内藤誠

    歴史ミステリーと先端科学を巧みに扱うダン・ブラウン原作の力だが、シリーズ新作も面白い。今回はダンテの『地獄篇』にちなんで、フィレンツェにはじまり、ヴェネチア、イスタンブールと、観光名所の撮影が丁寧で、贅沢な仕上がりだ。トム・ハンクス力演のラングドン教授は麻薬を打たれてしまい、その脳内幻覚の映像もシュールでいい。それだけに人類の半分を滅亡させ、人口過剰の問題を解決しようとする、大富豪の天才生化学者、ベン・フォスターの偏執的な人間像が描き足りない。

  • ライター

    平田裕介

    ジェイソン・ボーンよろしく、頭からラングドンが記憶喪失。というわけで、なにやら事件に巻き込まれ、何者かに追われるうえ、波状するフラッシュバックについても自身で解き明かさねばならないプロットが巧い。そこへロン・ハワードの緩急自在な手腕も乗っかってアガる。ただし、そちらに注力しすぎて、ダンテのあれこれをめぐるミステリーみたいなノリは薄味に。しかし、なんだってウイルスを拡散させるのにこんなまわりくどい方法が取るのか理解できぬが、それを言ったら負け。

1 - 3件表示/全3件