シチズンフォー スノーデンの暴露の映画専門家レビュー一覧

シチズンフォー スノーデンの暴露

元CIA職員が、政府による違法な情報収集の実態を内部告発した“スノーデン事件”の全貌を追ったドキュメンタリー。2013年、映画監督ローラ・ポイトラスは“シチズンフォー”と名乗る人物から連絡を受ける。彼こそが、エドワード・スノーデンだった。スティーヴン・ソダーバーグが製作総指揮を務め、アカデミー賞長編ドキュメンタリー賞を受賞した。
  • 翻訳家

    篠儀直子

    「リークするから俺を取材しろ」ならよくあることだが、「俺を題材にした映画を撮れ」と言っているも同然のメールを送ってきたスノーデンの意図は謎だが、この挑戦(?)を受けて立った監督が描き出す、その後の経緯はまぎれもなく目に見える事実だ。ガーディアン紙さえも英国政府の圧力に一部屈せざるをえなかったという話には暗澹たる気持ちになるけれど、これだけの覚悟をして権力と戦う報道人たちがいることに鼓舞される。陳腐な言い方になってしまうが、まさにいま観るべき映画。

  • 映画監督

    内藤誠

    08年に岩波書店から『ウィキペディア革命』という本が翻訳刊行され、知識のガバナンス原理として、百科事典との比較などが語られていた頃はインターネットに関し、まだ楽天的だった。現在NSAに属したスノーデン青年がリスクを承知で訴える、情報機関の監視体制の恐怖は、どういうテクニックによるのか分からないながらも、スリリングに伝わってくる。大学で映画製作を教えていたというポイトラス監督は、アメリカから亡命した青年の訴えを粉飾のない演出でみごとに提示した。

  • ライター

    平田裕介

    傍受システム“エシュロン”の存在は以前から有名だし、「カンバセーション…盗聴…」「エネミー・オブ・アメリカ」あたりを観て育った者からすると、米の人類監視なんてやっていて当然だと思っていたので、とりわけ驚きもせず。だが、スノーデンの告発と取材を映像に収めていたのには驚いた。といっても殺られるか否かみたいな話でもないので、ハラハラせず。昨今的にはエシュロンみたいなシステムに頼らず、人力でとんでもない情報を引っ張り出す『週刊文春』のほうが凄いと感じる。

1 - 3件表示/全3件