マリーゴールド・ホテル 幸せへの第二章の映画専門家レビュー一覧

マリーゴールド・ホテル 幸せへの第二章

インドへやって来た英国人シニアたちの人生模様を綴った「マリーゴールド・ホテルで会いましょう」の続編。ボロホテルで悠々自適の生活を送るイヴリンたち。若きオーナーがホテルの拡大と恋人との結婚に奔走する中、謎めいた宿泊客が現れる。監督のジョン・マッデン、キャストのジュディ・デンチ、マギー・スミス、ビル・ナイ、デヴ・パテルといった前作のメンバーが再結集。新たに「キング・オブ・マンハッタン 危険な賭け」のリチャード・ギアが加わり、怪しげな宿泊客を演じる。
  • 映画監督、映画評論

    筒井武文

    インドを舞台にした英米合作が、本元インド映画を超えるのは難しかろう。冒頭でのアメリカでのシーンでのカット割りの意味のない細かさにへきえきさせられるが、舞台がインドに移っても、インド的な嫋やかな時間の流れはない。芸達者な英国の名優たちが、背景としてのインドと見事に融和し、絵空事の世界を見せてくれる。その馴染んだ空気に風穴を開けるのが、米国人リチャード・ギアで、これは悪くない。ホテルのオーナー役デヴ・パテルとの間の合わない違和感を醸し出す。

  • 映画監督

    内藤誠

    ホテルを舞台にすると多彩な人間関係が描けるので、作り手も楽しいし、演じるほうも張り合える。前作がよかったので、続篇を期待するわけだけれど、今回はホテルの新館を作ろうとする主人公のデヴ・パテルがあまりに常識的で、分別くさく、話がはずまない。それが演技力豊かな老人俳優にも伝染して、湿っぽい作品になった。そこでゲストスターの謎の男、リチャード・ギアの登場となるのだが、ミステリアスとはいかず、キャスト全員で踊るボリウッドダンスの場面が一番よかった。

  • 映画系文筆業

    奈々村久生

    前作と同じ監督とは思えないほどバージョンアップが著しい。ベテランの役者陣が危なげない一方、若きオーナーのインド青年は相変わらず軽率で、キャラクターとしても役者としてもイライラさせられたりヒヤヒヤさせられたりするが、クライマックスのダンスシーンになるとバキバキに踊りまくってこれは別人のようにかっこいい。長身に長い手足も劇中で初めてと言っていいほど映える。マサラムービーらしいダンスと身体能力がドラマに上手く組み込まれて最大の見せ場を作っている。

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