のぞきめの映画専門家レビュー一覧
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評論家
上野昻志
通常、映画における恐怖は、何か見てはならないものを見てしまったことによる場合が多く、それはスクリーンを見ている観客にも直に伝わる。それに対し、こちらは逆で、何者かに見られる=覗かれるのが恐怖、という点が一応、新機軸か。むろん、それは原作の工夫で、読むという受け身の姿勢には合う。一方、映画では、覗かれるという受け身の演技をする俳優が、いかにリアルに恐怖を表現出来るかが勝負だが、主演の板野友美をはじめまだ拙い。ま、話は悪くないので★一つオマケ。
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映画文筆系フリーライター、退役映写技師
千浦僚
少し前に恐怖映画「イット・フォローズ」を観て、これは米国人にとっての性交は日本人にとってのビデオダビングくらいの行為だという、性病版「リング」だと思い慄いたが、それはさておき、呪いを受けた者の恐怖と脅威が、他人には認知されない妄想のようでありつつ実在し、そのための孤立にこだわることで「イット~」は基礎体力が高かったが「のぞきめ」は主観的な泥と実在の泥の違いが曖昧だった。可能性ある題材だったが。ひとりで横溝正史的陰惨を導入した水澤紳吾は光った。
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文筆業
八幡橙
カーテンの隙間、換気扇、水道の排水溝……あらゆる隙間から何者かにつねに覗かれているという恐怖。原作の持つ視点は面白いのに、なぜだろう。最後の最後まで恐ろしさを喚起される瞬間は訪れず。ホラー映画のヒロインは序盤から観る者の心惹きつけ、共に手に汗握り、怯え、震え、理不尽な恐怖に必死に立ち向かう気分へと導くことが必須なのでは。なのに本作の主人公は自らは何もせず、ほぼ何も感じず。化け物サイド以上に体温が低い気さえ。白石隼也と入来茉里の熱演に★プラス。
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