ONE PIECE FILM GOLDの映画専門家レビュー一覧
ONE PIECE FILM GOLD
海賊王を目指すルフィ率いる麦わらの一味の冒険を描くアニメシリーズ劇場版13作目。一攫千金を狙い大勢が集まる世界最大のエンターテインメント都市グラン・テゾーロ。ここを牛耳る黄金帝ギルド・テゾーロの野望が動き出し、新世界を揺るがせる。前作「ONE PIECE FILM Z」に続き、原作者の尾田栄一郎が総合プロデューサーを手がけている。監督はテレビ版3代目シリーズディレクターの宮元宏彰。おなじみの声優陣に加え、「バケモノの子」の山路和弘がゴルゴルの実の能力者である黄金帝ギルド・テゾーロの声を担当。さらに「夏の終り」の満島ひかり、「偉大なる、しゅららぼん」の濱田岳、「グラスホッパー」の菜々緒、「桜田門外ノ変」の北大路欣也がゲスト声優として参加する。
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映画評論家
北川れい子
まるで遊びと冒険とスリルが火花を散らし合っている豪勢なカーニバルでも観ているよう。12分に及ぶというゴージャスなオープニングだけで、すでに本篇分のパワーとアクションが詰まっていて、その気前の良さに逆に恐縮する始末。私は格別「ONE PIECE」ファンではないけれども、キャラの弾け方といい、カラフルで流動的な絵といい、今回特に素晴らしい。黒岩勉の脚本も粋で、常連キャラへの目配りもみごと。ただあまり賑やかすぎて、ゴメン、途中でこちらの息が上がりそうに。
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映画文筆系フリーライター、退役映写技師
千浦僚
原作もアニメも観たことなかった。初「ONE PIECE」。女性キャラの乳の大きさに驚く。ドゥルーズは『シネマ2』で、“労働者が経営者におかまをほられているのなら、それを見せなければならないのであって、「隠喩化」してはならない”とゴダール映画に見られる“字義性”を評価するが、本作の、黄金を操る能力がある人物が人々に金粉を振りかけてそれによって人々を支配するというのはほとんどこれ。それを打ち破るのが熱血と友情という週刊少年ジャンプ黄金律。飽かずに観た。
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映画評論家
松崎健夫
注目すべきは、タイトルにもある〈金〉の表現である。舞台となる絢爛豪華な黄金船“グラン・テゾーロ”は、あらゆる部分が〈金〉で出来ているという設定。そのため、光の明暗や反射はもちろん、陰影においても観客が〈金〉だと判るような色彩設定が為されている。また本作には、日本のカジノ構想に対する或る種の回答がある。メインターゲットである少年少女たちに対して、その是非をサブリミナル的に訴え、彼らが都市計画のあり方を将来考える折のヒントに成り得るのではないか。
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