デッドプールの映画専門家レビュー一覧
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翻訳家
篠儀直子
ステレオタイプな人物配置をからかうようなオープニングクレジットが可笑しい。どんなお下劣ネタが連投されるのかと思っていたがそこまでではなかった(わたしの予想が極端すぎ?)。台詞に小ネタが満載なので、どこをどう字幕に生かすか、翻訳はさぞや苦渋の選択の連続だったろうと思われる。主人公の友人や、同居人となる老女など、脇のキャラクターに魅力があるのがよい。アクションシーンに、できるかぎり生身の人間のアクションを活かそうとする姿勢が見えるのも好感が持てる。
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映画監督
内藤誠
新人監督を中心にスタッフ、キャストが楽しそうに撮影している気分が伝わってくる。マーベル・コミックが原作で、笑いをとるためなら、楽屋落ちだろうと下品なジョークだろうと、何でもやるというスタイルながら、ガンに侵された主人公(ライアン・レイノルズ)がミュータントとして延命をはかる手術の場面などは、時間をかけて丁寧に撮影。娼婦あがりの恋人を演じるモリーナ・バッカリンと格闘技を活かし、悪役として登場するジーナ・カラーノたち女優陣がタフでチャーミングだ。
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ライター
平田裕介
とめどなく下品で、正義を貫くよりも私怨を貫くほうが大事。おまけに、敵はどんな雑魚も“完殺”をモットー。それでいて、異形としての哀しみも抱えている。そんなデッドプールのキャラがやっぱり魅力なわけだが、喜々として彼を演じるライアン・レイノルズが輪をかけて素晴らしい。劇中でもネタにされている「グリーン・ランタン」のあれこれが彼のなかで葬られたのをこちらも感じる。新生版「トランスポーター」では冴えなかったエド・スクラインだが、本作では相当な存在感を照射。
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