春子超常現象研究所の映画専門家レビュー一覧

春子超常現象研究所

「東京難民」の中村蒼がテレビ男を演じる異色コメディー。ある日突然、心と体を持ってしまったテレビは持ち主の春子と奇妙な同棲生活を始める。やがて語学番組のパーソナリティに抜擢されたテレビはたちまちTV界のトップにのし上がっていく。監督・脚本は「さまよう小指」の竹葉リサ。共演は「PIECE 記憶の欠片」の野崎萌香、「内村さまぁ~ず THE MOVIE エンジェル」の青木さやか、「女たちの都 ワッゲンオッゲン」のブラザートム、「マエストロ!」の池田鉄洋、「虎影」の斎藤工、「時の輝き」の高橋由美子、「アウトレイジ ビヨンド」の小日向文世。
  • 評論家

    上野昻志

    この、どこが超常現象なのよ、といいたくなるが、最後にその看板を捨てるからいいか。ただ、寝転がって文句ばかり垂れている女に、アタマにきたテレビが人間になるのはいいが、今頃、箱形テレビというのは、どうよ。そのほうが、箱をアタマにかぶるだけだから簡単だし、わかりやすいというのでは安易過ぎない?これを薄型テレビにして、身体もそれに合わせて薄型にしたら、マメ山田だけでなく、見世物にしたいと思うけれど。まあ、テレビ人間が水に溶け、箱に戻るのは悪くない。

  • 映画文筆系フリーライター、退役映写技師

    千浦僚

    若い娘のテレビへの話しかけが一万回を超え、そのテレビが若い男になり恋人になる。アイデア、観念が素晴らしい。お前らテレビとヤッてんだろそれがいいんだろ(テレビ男はチンコがデカい)、とか、家族や家庭を捨てたような気でいてもそこに戻っちゃう(主人公も、脇役の家出人妻も)という皮肉が生じている。受信料徴収者が味方だとか、主人公はUFOよりテレビを選ぶなど、大きな否定や変革を拒むコンサバな世界観だし、私はテレビが嫌いだが、この可愛い映画を嫌いにはなれない!

  • 文筆業

    八幡橙

    ポップでサイケでまるで先の読めない、「見る漫画」とも呼びたい超絶ドタバタ・ラブコメディー。小日向文世の毒を吐きまくる父親をはじめ、ヒロインとTV男の恋を巡る、細々したギャグの一つ一つが結構ツボで笑ってしまった。「さまよう小指」で世間の度肝を抜いた竹葉リサ監督。広くわかりやすく、なんとなく意味がありそうで最後はすごく泣けました、みたいな映画をよしとする風潮に風穴を開ける自由な感性。この突き抜けたバカバカしさと痛快さは貴重では。今後の期待も込めて★を!

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