ふきげんな過去の映画専門家レビュー一覧

ふきげんな過去

小泉今日子と二階堂ふみをダブル主演に迎えた「ジ、エクストリーム、スキヤキ」の前田司郎監督作。退屈な日々を送る女子高生・果子の前に18年前に死んだはずの伯母・未来子が突然戻ってきたことで、特別な時間へと変わってゆく果子のひと夏を綴る。共演は「きみはいい子」の高良健吾、「サムライフ」の山田望叶、「禁忌」の兵藤公美、「ストロボ・エッジ」の山田裕貴、「はなくじらちち」の黒川芽以、「夫婦フーフー日記」の梅沢昌代、「父の結婚」の板尾創路。
  • 評論家

    上野昻志

    タイトルまでが長すぎる。と感じるのは、二階堂ふみが立っているショットが長いからだ。そのあとの寝床で立ったまま赤ん坊を眺めているショットも同じで、作り手の思い入れで長くなっているのだろうが、もっと抑制して欲しい、舞台じゃないんだから。にもかかわらず、女が三人寄り合って豆の皮を?いている場面をはじめ、ワケあり家族の感じはよく出ているし、運河を撮ったショットには惹かれる。あと小泉今日子と二階堂が角突き合う場面が記憶に残るのと、山田望叶の存在が面白い。

  • 映画評論家

    上島春彦

    一番いいのはタイトル。爆弾製造犯という発想が昔懐かしく、ネタバレになるので詳しく書けないが「過去」が騒々しく「現在」に乱入してくる作劇が面白い。でも実は今、予告篇を見てきたらネタバレ厳禁のつもりだった主人公二人の関係がばらされていて拍子抜け。書かないけどね。ただ、この件のばらし方もそうだが全体に脱力系の作りであり、この長さは無茶かと。もっとエピソードがないともたないと思う。豆料理屋という設定もいかにも小手先で、どことなく手抜き感が漂う会話だ。

  • 映画評論家

    モルモット吉田

    〈女はつらいよ〉とばかりに死んだはずの小泉が食堂を営む女系家族のもとに帰ってきて何事かを企むがそれが何かは遂に明かされない。雰囲気だけに依存した映画が横行する中、演劇畑の監督だけあって何もない話、何でもない対話を立体的に構成する手腕は際立つ。海に近い店舗兼家屋の二階屋を映画よりも演劇的な空間に引き寄せて活用したのが良く、?みどころがない世界にひたってしまう。二階堂は不機嫌で無愛想な顔がよく似合うが惜しむらくはラストのアップにもう少し余韻があれば。

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