エイリアン コヴェナントの映画専門家レビュー一覧

エイリアン コヴェナント

SFホラーの金字塔「エイリアン」の原点に迫った「プロメテウス」の続編。人類初の宇宙移住計画のために航行していた宇宙船コヴェナント号は、謎の電波をキャッチ。発信元の惑星へ向かう。そこで、女性乗組員ダニエルズが目にした恐るべき真実とは……。出演は「光をくれた人」のマイケル・ファスベンダー、「ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅」のキャサリン・ウォーターストン。メガホンを取ったのは、シリーズの生みの親、リドリー・スコット。「エイリアン」(1979)の前日譚3部作の2作目で、「プロメテウス」(2012)の続編。
  • 翻訳家

    篠儀直子

    「ライフ」を観たあとだと、乗組員があまりに不合理な行動ばかりするのでびっくりするがそれはさておき、「エイリアン」の前日譚というよりは「プロメテウス」の続篇で、リドリーはますます宗教的なものに接近。実際「コヴェナント」という言葉には「神との契約」の意があるし、デヴィッドは修道僧や原始キリスト教の隠遁者のイメージで登場するのだった。でも正直言って、人智を超えたものが突然襲ってくるから面白いのに、随分つまらない方向性で話を閉じようとしているなあと思う。

  • 映画監督

    内藤誠

    清潔で広い部屋で父と息子が静かに言葉を交わす。父に言われてクローン人間の息子はピアノを弾くのだが、それだけでもう次にやってくる恐怖の時間を感じさせる。宇宙船に乗って地球人が居住できる惑星を目ざしていた一行が目的地とは違う場所に寄ったばかりに無気味なエイリアンに襲われるというシンプルな物語だが、リドリー・スコットは映像、サウンド、造形のすべてに力を発揮。ノスタルジックで無気味な惑星と、そこに巣食う「ネオモーフ」という生物が急速に育っていく動きが凄い。

  • ライター

    平田裕介

    前作「プロメテウス」よりも宗教的要素を増した内容に。もはや主人公はアンドロイドのデヴィッドと言ってもよく、リドリー・スコットは彼に感情移入して人類の起源を探ると共に、そこから生まれる畏怖、それに対しての傲慢を描いていくことに注力してしまっている。そのままで終わってしまうのはさすがにマズイと思ったのか、終盤には成体型エイリアン=ゼノモーフとの戦いを用意して本来のSFホラーへ。だが、無理矢理な感じでシフトしていくのでなんだかバランスの悪い内容に。

1 - 3件表示/全3件