クーパー家の晩餐会の映画専門家レビュー一覧

クーパー家の晩餐会

「I am Sam アイ・アム・サム」のジェシー・ネルソン監督が、豪華キャストを迎えて贈るホームコメディ。クリスマスの夜、ある家族がディナーのために集まるが、思わぬ出来事をきっかけにそれぞれの秘密が明らかになってゆく。出演は「ニューヨーク 眺めのいい部屋売ります」のダイアン・キートン、「ミケランジェロ・プロジェクト」のジョン・グッドマン。
  • 映画監督、映画評論

    筒井武文

    クリスマスイヴの晩餐会に向けての準備が進むなか、各人の人生模様が描かれる。中心になる夫婦は離婚寸前であることを隠し、娘は偽の恋人を連れて参加するといった具合だ。最も可笑しいのが、万引きで逮捕された妻の妹と護送する黒人警官との車中の会話。そうして積み重ねた伏線を基に、愛犬も参加した晩餐会が始まるのだが……。ここで自分の秘密を隠し通そうとするやりとりが面白くないとまでは言わないが、本質的な気まずさに欠けるのである。どこかに計算違いがありはしないか。

  • 映画監督

    内藤誠

    下重暁子の『家族という病』がベストセラーになる日本と同様に、アメリカでも一年に一度、家族が顔を合わせるクリスマスの晩餐会は気が重いものらしい。ジョン・グッドマンとダイアン・キートン夫妻を中心に、芸達者が顔を揃えたコメディーなので、大いに期待したのだけれど、演出にテンポがなくて、ときに退屈。台本構成も繰り返しが多く、オリヴィア・ワイルドがニセの婚約者のジェイク・レイシーを家に連れてくるくだりなど、説明過多。ただ、クリスマスの雰囲気描写はみごとである。

  • 映画系文筆業

    奈々村久生

    小出しに登場するクーパー家の面々が、一つ屋根の下に集合しても、まったく親族に見えない。設定や小道具以外に彼らをつなぐ糸やグルーヴが感じられない。熟年の両親がなぜ些細なことで離婚に走ろうとするのか、一時のノリで引っ込みがつかなくなったにしては演出に勢いが足りないし、またその解決の仕方も、予定調和に向かって敷かれたレールの上を歩んでいるようで手抜き感が否めない。クリスマスを舞台にした群像劇という点でも特に新鮮味はなく、コメディーの処理も甘い。

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