ヘイル、シーザー!の映画専門家レビュー一覧
ヘイル、シーザー!
1950年代のハリウッドを舞台に、コーエン兄弟が撮り上げたサスペンス・コメディー。史上空前のスペクタクル超大作の撮影中、主演俳優誘拐事件が発生。個性溢れるスターたちを巻き込みながら、事件解決のために“スタジオの何でも屋”が奔走する。出演は「エベレスト3D」のジョシュ・ブローリン、「トゥモローランド」のジョージ・クルーニー、「ビューティフル・クリーチャーズ 光と闇に選ばれし者」のアルデン・エーレンライク、「グランド・ブダペスト・ホテル」のレイフ・ファインズ、「ウルフ・オブ・ウォールストリート」のジョナ・ヒル、「LUCY ルーシー」のスカーレット・ヨハンソン、「プロミスト・ランド」のフランシス・マクドーマンド、「オンリー・ラヴァーズ・レフト・アライヴ」のティルダ・スウィントン、「ジュピター」のチャニング・テイタム。
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批評家。音楽レーベルHEADZ主宰
佐々木敦
トラブルや問題は多々あれど、ともかくもハリウッド万歳という話だが、コーエン兄弟がなぜ今わざわざこんな映画を撮ろうと思ったのかがどうにも不可解。色々と豪奢な映画内映画の数々もパスティーシュの域を出ていない。ハリウッド・テンの描き方は、あれでいいのだろうか?今更反共映画はないでしょう。せめてもう少し全体的に焦点を絞ればわかりやすくなるのにと思ったが、そういうわけにはいかないのだろう。アルデン・エーレンライクの「能力の高いバカ」ぶりは良かったです。
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映画系文筆業
奈々村久生
映画業界もののカテゴリーに入るけれど、ゴシップ記者のような周辺の存在まで物語に組み込まれて登場するのが面白い。撮影というと技術スタッフは作品の内部に集中していればよくても、実際は世間との交渉の連続で、ロケともなれば街頭の人々と直接対峙する人員が不可欠だ。ブローリンの演じるスタジオの何でも屋は今で言うと制作部の領域に近いだろうか。対人能力に長けている上にタフな商売は映画制作のうさんくさい側面をケレン味たっぷりに見せる。劇中劇の華麗な水中芸は眼福。
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TVプロデューサー
山口剛
大物フィクサー、マニックス(J・ブローリン)の動き回るハリウッドの裏話はどれも面白いが、ドル箱スター(G・クルーニー)が共産党シンパの脚本家たちに誘拐、洗脳され、マニックスに一喝される件りは大笑いする。赤狩り直前の頃だろう。唄う大根カウボーイ、水着の女王、ミュージカル・シーン(チャニング・テイタム最高)など面白いエピソードがあまりにも沢山盛り込まれているので、「バートン・フィンク」に比べると統一感を欠くが、古い映画ファンにはたまらない。
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