BFG:ビッグ・フレンドリー・ジャイアントの映画専門家レビュー一覧

BFG:ビッグ・フレンドリー・ジャイアント

『チャーリーとチョコレート工場』の作者ロアルド・ダールによる児童小説『オ・ヤサシ巨人BFG』を、スティーブン・スピルバーグ監督が映画化。児童養護施設で暮らすソフィーは、心優しい巨人に連れていかれた巨人の国で、思いがけない冒険を繰り広げていく。「E.T.」などを手がけ2015年に亡くなった脚本家メリッサ・マシスンの最後の作品となった。ソフィーを演じるのはオーディションで選ばれたルビー・バーンヒル。孤独な巨人BFGを「ブリッジ・オブ・スパイ」で第88回アカデミー賞助演男優賞を獲得したマーク・ライランスが演じる。
  • 翻訳家

    篠儀直子

    今さらこの監督にこんな点をつけるのはわたしもつらい。開巻からずっとR・ダールの言葉に引きずられて足取りが重い感じがある。空間が開かれ、イメージが飛躍するスピルバーグ的爽快さがなかなか訪れない。そのうえ、丁寧に演出しているように見えてプロットが穴だらけでちぐはぐなので、観終わったとき非常に困惑する。しかし「クリスタル・スカルの王国」でも感じたことだが、カミンスキーの撮影にはジャンルをはみ出す変な過剰さがあるから、これを愛でるという楽しみもあるかと。

  • 映画監督

    内藤誠

    BFG役のマーク・ライランスと少女役のルビー・バーンヒルの主役コンビがいい。夢にしてはセリフが理屈っぽく観念的なのはロアルド・ダールの映画化だから、当然。ティム・バートンの「チャーリーとチョコレート工場」同様、スピルバーグも映像と音響に凝っている。「巨人」と普通人間の対比、光と色彩の微妙さ、悪ふざけやブラックユーモアのセンスも楽しめる。巨人たちの動きがいささかパターン化したところで、一転、バッキンガム宮殿の現実世界に移行。ここからは快調そのもの。

  • ライター

    平田裕介

    アンブリンでの製作、スピルバーグ組ともいうべき鉄板のメンツ。期待に胸を膨らませたが、みるみると萎んだ。互いに孤独という共通項はあるが少女とBFGはたいしたフックもなくツーカーの仲になるし、BFGが執心する子供への夢の吹き込みがどう作用してどう重要なのかピンとこず。ロンドンの闇に紛れながら移動するBFGの姿や、彼が人間界から拝借したアレコレで作った生活道具のユニークな意匠には魅せられるが、本当にそこだけ。“ド・ウシタ巨匠SS”という感じ。

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