インサイダーズ 内部者たちの映画専門家レビュー一覧
インサイダーズ 内部者たち
同名ウェブ漫画を原作にイ・ビョンホン主演で映画化。巨大権力の流れを陰で操る策士ガンヒに雇われ悪事を代行するアン・サングは、財閥企業を脅迫するが失敗。チンピラに成り下がった彼に事件を捜査していた検事ウ・ジャンフが接触する。共演は「マラソン」のチョ・スンウ、「観相師 かんそうし」のペク・ユンシク。監督は『スパイな奴ら』のウ・ミンホ。
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翻訳家
篠儀直子
新聞社論説主幹以外の悪役がぺらぺらでつまらないのが難だが、こみいったストーリーを運ぶだけで手一杯になるのではとの不安をよそに、アクションシーン(それほど多くはないけど)にも人物のちょっとした動きにも、美術装置にも工夫が見られるのがなかなか面白い。ビョン様が記者会見を開いたところで終わりかと思いきや、そこからの展開がほんとうの見どころ。腕力で片をつけるのではなく、「言葉の力」での対決の様相を呈する。あと、エンドロールに流れるテーマ曲がかっこいい。
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ライター
平田裕介
『スチュワーデス物語』の片平なぎさのごとく、イ・ビョンホンが黒い革手袋を外して義手を見せつける。この幕開けからから一気に最後まで持っていかれる130分。悪人どもの描き方は画一的だが、どこまでもワルをえげつなく描く彼の国固有のタッチ、組織の犬・巨悪の犬として生きてきた検事とチンピラが抗い、敵同様にしたたかな作戦を立てる構図と展開はどうしたって燃え上がる。「ベテラン」と同時期に製作されているが、韓国エンタメ系では今後この手の作品が増えるのか?
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TVプロデューサー
山口剛
政財界とマスコミの癒着腐敗を奇妙な友情で結ばれたヤクザと検事のコンビが暴いて行く――この種の設定のアクションドラマは昨今の韓国の世情を反映して、いずれも当っているという。リンチのシーンは凄惨だし、裸女を侍らせての乱痴気宴会は?然とするが、きびきびしたタッチは快調で、七〇年代の日活や東映のアクション映画の持っていたアナーキーな反体制的エネルギーを懐かしく思い出す。主演のイ・ビョンホンとウ・ジャンフンが好演、二人の対比がなかなか良い。
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