ドクムシの映画専門家レビュー一覧
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映画評論家
上島春彦
蟲毒。こどくと読む。諸星大二郎の中国王朝マンガで知識はあった。毒虫を数匹戦わせて生き残った最後の一匹から最強の毒を取り出すという。本作では七人の男女が争う。アクションはしっかりしており飽きさせない。監督の決定的ショットに懸ける才能を感じさせるも物語がダメ。結局始まっちゃうととりあえず最後までは行くだろう、と誰もが考えるそのようにしか進まない。オチも機能していないようだ。ネタバレで詳しく書けないがクライマックスの血の噴出は最上。半分の時間で十分だな。
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映画評論家
北川れい子
情報が遮断された密室空間の中で、一人が言い出した妄言が火の子となり、男女7人が7日間のデスゲーム。いや、ゲームというよりスプラッター映画に近く、気色ワルさも狙いなのだろうが、場所は備品が取っ払われた校舎内、当然あちこちに窓があり、殺し合いをする前に窓を破って逃げる算段ぐらいしろ、とイライラ。それと飢え。水以外、一切口にしていないはずなのに、何日経っても元気に殺ったり、殺られたり。でも一番気色ワルいのは彼らが閉じ込められた理由で、後味サイアク!!
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映画評論家
モルモット吉田
〈さあゲームの始まりです系映画〉の型にはまった企画では「リアル鬼ごっこ ライジング」が佳作だった朝倉加葉子を持ってしても困難な模様。ありふれた校舎なのに早々に脱出を諦め、水道水を飲むことすら過剰に恐れるが、その恐怖が伝わらない。ほぼ全篇が校舎内、ステレオタイプなキャラが設定を台詞で説明しているばかりでは描写に注力するしかあるまい。その中では校舎階段から転落した少女の体があらぬ方向に捻じ曲がって〈脳漿炸裂ガール〉と化す光景には才気を感じさせたが。
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