見えない目撃者(2015)の映画専門家レビュー一覧
見えない目撃者(2015)
韓国映画「ブラインド」をアン・サンホ監督が自らメガホンをとり中国でリメイクしたスリラー。ひき逃げ事件に居合わせた盲目の女性と、事件を目撃した若者が何者かに命を狙われる。出演は「バレット・ヒート 消えた銃弾」のヤン・ミー。主人公と行動を共にする若者を、EXOの元メンバーのルハンが演じている。
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映画監督、映画評論
筒井武文
いくら姉だといえ、婦警だといえ、公演会場から演奏中の弟を連れだす冒頭の強引な展開には違和感がある。3年後、盲目の彼女が事件に巻き込まれ、死んだ弟の代りのような目撃者と、犯人を探索していく中盤は、なかなか面白い。しかし、勿体をつけた犯人像と対決する終盤は、あまりにアクションを引き延ばし過ぎ、脚本のご都合主義を露呈するばかりだ。青髭を思わす犯人が、刑事にしても、少年も、ヒロインも止めを刺さずにいるのは、「暗くなるまで待って」というわけでもあるまい。
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映画監督
内藤誠
警官志望の姉が学校に行かないで自分の好きな音楽にうつつを抜かしている弟をいさめるシーンまでは、センスのないヒロインだなと思って我慢できるのだけれど、演奏中の弟に手錠までかけ、車で連行するとなると、話の発端からあきれてしまう。そのあとに続く自動車事故からサスペンスが始まり、とてつもない話が展開。観客はどうなることかと引き込まれていく仕掛けだが、物語のあざとさはぬぐえないので深刻なヤン・ミーよりもユーモラスな刑事ワン・ジンチュンが出てくると嬉しい。
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映画系文筆業
奈々村久生
「見えない」表現がアクションにおいてもビジュアルにおいても雑に思える。視覚を失う前と後でヒロインの人格が変わりすぎてもはや同一人物である必要性もよくわからない。キーパーソン的な役を演じたルハンはスケーター青年のイメージにぴったりだが、そのアイコン以上の存在にはなっておらず、キャラとしても俳優としても途上と言わざるを得ない。中国での彼のソロ活動は今のところどれも「EXOのルハン」だった頃を超えられていないように感じるのが皮肉でもあり哀しくもあり。
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