ロイヤル・ナイト 英国王女の秘密の外出の映画専門家レビュー一覧

ロイヤル・ナイト 英国王女の秘密の外出

ヨーロッパ戦勝記念日の夜、エリザベス王女と妹マーガレットがお忍びで外出した史実に基づくドラマ。王宮の外に出たマーガレットは、付き添いが目を離した隙にバスに飛び乗る。慌てて彼女を追って街に出たエリザベスは、人生を変える一夜を過ごす。監督は、「キンキーブーツ」のジュリアン・ジャロルド。出演は、「ドラキュラZERO」のサラ・ガドン、「ミニー・ゲッツの秘密」のベル・パウリー、「戦火の馬」のエミリー・ワトソン、「ヒステリア」のルパート・エヴェレット、「トランスフォーマー ロストエイジ」のジャック・レイナー。
  • 翻訳家

    篠儀直子

    宮殿から「外の世界」へと踏み出す瞬間なしにいきなり街中の場面へ飛んでしまっていたり、あるべきショットが撮られていないという感覚がつきまとう映画だが、マーガレットと娼館経営者とのくだりなど、クラシックなコメディの感じがあってとても好ましい。素晴らしく可愛いプリンセス二人が兵舎でリンディーホップを踊るシーンや、夜明けのドライブのシーンには、こんなことが現実の彼女たちにもほんとうに起こっていたらいいのにと思わずにいられない多幸感(とせつなさ)がある。

  • 映画監督

    内藤誠

    終戦時、エリザベス王女が妹マーガレットと王宮を出て、ロンドンの街をさまよう話だが、「トランボ」を見て感動したばかりなので、当然「ロ―マの休日」と比較する。ジャロルド監督も、あの名作を意識したはずで、ローマの観光名所に対してロンドンの娼館街を映像化し、戦勝に湧く大群衆の再現に力を入れて、スペクタクルだ。王女の相手は貧しい空軍兵士で貧民街も見せる。だが、そうした気配りがかえってファンタジーの味を損ない、妹役の献身的ドタバタぶりもシラけさせてしまう。

  • ライター

    平田裕介

    実際に奔放だった妹マーガレットがエリザベスを冒険へ誘うニヤリな導入、皇室マニアのギャングに間抜けな護衛コンビといった魅力あるキャラ群、そして恋と笑いと成長の物語。初期クリス・コロンバスが英国王室をネタに撮ったようなノリに頬が緩みっぱなし。王室と一般大衆の齟齬みたいなものも盛り込むが、あまり活きてこず。舞台である45年というと、マーガレットは英空軍の大佐と大恋愛中だったはず。意図的なのか、妹同様にエリザベスも空軍兵士とイイ感じになる点も面白い。

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