セルフレス/覚醒した記憶の映画専門家レビュー一覧
セルフレス/覚醒した記憶
「インモータルズ-神々の戦い-」のターセム・シン監督によるSFアクション。ニューヨークの政財界に影響力を持つダミアンは、余命半年と宣告され、巨額を積み遺伝子操作で作った肉体に意識を移し替える。副作用で幻覚が現れるが、それは肉体の記憶だった。68歳の富豪の頭脳を移された特殊戦闘能力を持つ肉体に「デッドプール」のライアン・レイノルズが、傲岸不遜な富豪に「ガンジー」で第55回アカデミー賞主演男優賞を獲得したベン・キングズレーが扮する。
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翻訳家
篠儀直子
蓄積した教養と高度な専門知ゆえにプランへの参加を許されたはずなのに、新しい肉体を手に入れたあと、建築家としてのずば抜けたキャリアの継続にすぐさま取りかかるのかと思いきや、いつまで経っても遊びほうけているので主人公が何をしたい人なのかよくわからなくなるし、ただ会話しているだけのシーンを落ち着きなく(しかも意味不明に)カット割りしているのもどうかと思うが、アクションの撮り方はなかなか上手い。これ以外ないだろうというラストへちゃんとたどり着くのも偉い。
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映画監督
内藤誠
NYを作った男と言われる建築家(ベン・キングスレー)が余命半年と言われ、天才科学者(マシュー・グード)の研究所の力を借りて、遺伝子操作により、若く強い肉体(ライアン・レイノルズ)に優秀な頭脳を転送するというSF。物語の発端は十分に期待をもたせてくれたが、研究所は金儲けの組織に過ぎず、一見知的に見えるマシュー・グードにも「悪の哲学」すらないと分かると、ワンアイデアの話ではもたない。あとはカー・アクションとCM的テンポの演出で乗り切ろうとするのだが。
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ライター
平田裕介
衣裳デザイン以外でも影響を受けていただろう、石岡瑛子の喪失をどうクリアするのか? そんな心配は杞憂に過ぎず。“彼史上最も”というか“彼史上初”といっていいであろう、とことんシャープでスピーディな演出を堪能させてくれる快作でありました。それでいて、マンハッタンに建つトランプの絢爛豪華でいて俗臭芬芬な自宅ペントハウスをベン・キングズレーの住処にあてがうといった、彼一流の美的センスも健在。第二次ターセムともいうべき新章へ進めているようでホッとした。
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