シークレット・アイズの映画専門家レビュー一覧

シークレット・アイズ

アカデミー賞外国語映画賞受賞作「瞳の奥の秘密」を、「ニュースの天才」のビリー・レイがリイマジネーションしたサスペンス・ドラマ。2002年、FBI捜査官レイの同僚で親友ジェスの娘が殺される。彼らは容疑者を特定するが、逮捕されたのは別人だった。出演は、「それでも夜は明ける」のキウェテル・イジョフォー、「8月の家族たち」のジュリア・ロバーツ、「虹蛇と眠る女」のニコール・キッドマン、「人生は小説よりも奇なり」のアルフレッド・モリーナ、「クロニクル」のマイケル・ケリー、「フローズン・グラウンド」のディーン・ノリス。
  • 批評家。音楽レーベルHEADZ主宰

    佐々木敦

    過去と現在がややこしく交錯するスタイルは、(元ネタ映画があるとはいえ)最近のハリウッドのサスペンス物によくあるパターンだけれど、高度な話法であるかのように見えて、こういうのって端的に安易だと思う。更にしばしば目を覆うほどに大仰で下品なカメラワークがあったりもするのだが、にもかかわらず、この映画はけっして悪くない。何と言っても二人のヒロインが良い。いつもながら完璧にエロいキッドマンも流石だが、別人かと見紛うやつれ果てたジュリア・ロバーツが素晴らしい。

  • 映画系文筆業

    奈々村久生

    あの「瞳の奥の秘密」を下敷きにしているとはまったく気づかなかった。そうであるならば少なくとも設定とストーリーラインとオチの面白さは保証されていたはずだが、それを守るあまりか、演出も編集も辻褄を合わせるためのご都合主義に見えてしまう。時制の違いはわかりづらく、テロ対策の導入も、アメリカに置き換えて語る手段以外の必要性を実感しづらい。元FBIの私立探偵はターゲット捕獲の計画も手順も脇が甘すぎてびっくり。キッドマンと惹かれあう理由も結局わからなかった。

  • TVプロデューサー

    山口剛

    オリジナルと比較されるのはリメイク映画の負う宿命だが、アルゼンチン映画「瞳の奥の秘密」に惚れ込んだビリー・レイは、そのリスキーな試みに挑み、9・11以後のアメリカに舞台を移し替え、新しいアイデアを盛り込み、骨太なサスペンス映画に仕立て上げた。我が子を殺された女刑事の10数年にわたる執念をJ・ロバーツはほとんど見せ場の連続で熱演するし、ハーバード出の検事N・キッドマンの一瞬見せるビッチぶりも楽しい。オスカー女優二人を相手にC・イジョホーも健闘。

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