3月のライオン 後編の映画専門家レビュー一覧

3月のライオン 後編

羽海野チカ原作の将棋を題材とした同名コミックを「るろうに剣心」シリーズの大友啓史監督、「君の名は。」の神木隆之介主演で実写映画化した2部作後編。零が川本家と出会って1年後、再び獅子王戦の季節がやって来るが、様々な試練が棋士たちに降りかかる。出演は、「アイアムアヒーロー」の有村架純、「珍遊記」の倉科カナ、「海賊とよばれた男」の染谷将太。
  • 評論家

    上野昻志

    将棋に生きるすべを求めるしかなかった孤独な少年の成長物語というだけでは話が膨らまないから家族の物語を入れ込み、となると、前後篇になりましたという訳だが、後篇は、その家族の話が全面化する。前篇ほど回想シーンの挿入が多くないぶん良かったが、それにしても説明過多ではある。神木隆之介演じる桐山を温かく迎え入れ、祖父も交え幸せ一杯に見えた川本家にも、妻子を捨てた父が現れるかと思えば、次女は学校でイジメに遭っているとか……。ことの平凡さに較べ描写がくどい。

  • 映画評論家

    上島春彦

    面白いが星は伸びない。長い話を上手いこと二つに分けたが、ダイジェストっぽい印象が出ちゃった。前篇の方が緊張感はあった。彼が挑むことになる王者の弱点が単なる雰囲気に終わっていて、かなり肩透かしであった。まあ彼の弱点を攻めるというコンセプトじゃないから、映画の弱点とまでは言わないが。良い悪いは別にして、せっかくの後篇が前篇の説明にしかなっていない部分もある。悪口を書いたが、前のを見た人は当然こっちも見るだろう。俳優はこっちの方が生き生きしている。

  • 映画評論家

    モルモット吉田

    前後篇映画では後篇が落ちると感じることが多いが、これは落ちが少ないのではないか。難病、死、いじめ、家庭崩壊と盛り沢山だが演出の抑制は後篇でも揺るがず。川本家の次女のいじめ騒動や父の帰還で尺を取るが、これが必要かどうかは意見が分かれるところだろう。神木の無色透明感と芯の強さは2本にわたって引きつけて劇を回す力からも実感。神木が家を出て行く時の豊川の反応を拾わなかったり、〈Aが○○してる時の同じ場所にいるBの反応〉が飛ばされている事がやや目につく。

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