フレンチ・ランの映画専門家レビュー一覧

フレンチ・ラン

CIA捜査官とスリのはみ出し者コンビをイドリス・エルバとリチャード・マッデンが演じるバディ・アクション。パリ市街で爆弾テロが発生。一時嫌疑をかけられたマイケルのスリの腕前を見込んだCIA捜査官ブライアーは、彼に協力を持ち掛け、真犯人を追う。大規模テロを防ぐためパリを駆け巡る二人を、「ウーマン・イン・ブラック 亡霊の館」のジェームズ・ワトキンス監督が描く。
  • 翻訳家

    篠儀直子

    パリの屋根の上を駆け回る序盤の追跡シーンの素晴らしさには大興奮で、これだけで満点をつけたくなった。格闘シーンも面白いし、バディになる二人も魅力的で、話のちょっとした運びも気が利いている。パリのリアルな現在を切り取ったかのような物語である一方で、敵の最終目的があまりにしょうもなくてびっくりしたけれど、現実世界でも案外そんなものかもしれない。単身乗りこんだイドリス・エルバを、武器も腕力もない男女二人が援護するシーンのアイディアには、何やら猛烈に感動。

  • 映画監督

    内藤誠

    パリのアメリカ人の物語で、わが世代など、20年代アメリカ人の目を通してパリに憧れたものだけれど、現代では、冒頭からモンマルトルのサクレ・クール寺院の階段の人込みのなかを全裸の女の子が歩いてくるし、すぐさま始まるチェイス・シーンでは、屋根から屋根へと法治国家とは思えない乱暴さで主人公たちが駆け回る。さらには移民問題、テロ、右翼の台頭、それに対するデモ行進の描き方など、パリ市民がどう思うか気になるほどだが、結局、面白いものは何でも取り入れる演出なのだ。

  • ライター

    平田裕介

    雰囲気としては、ヨーロッパコープあたりが製作しそうな快活アクション。実際にそうしたテイストを目指していたのだろうが、監督は「バイオレンス・レイク」「ウーマン・イン・ブラック~」でジト~とした恐怖演出をブチかましたJ・ワトキンス。だから、どうしたって湿気たノリになってしまっている。とはいえ、スリである主人公がその技を駆使するクライマックスは楽しませるし、次期007候補なのも納得できるイドリス・エルバのクールでワイルドな魅力を堪能できるのは◎である。

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