疾風スプリンターの映画専門家レビュー一覧

疾風スプリンター

「激戦 ハート・オブ・ファイト」のダンテ・ラムが、自転車のプロ・ロードレースの世界を舞台に男たちの戦いを描くドラマ。強豪チームの主力選手として活躍していた3人の男たちが、資金難による解散を受け、異なるチームに移籍して競い合うことになる。出演は「激戦 ハート・オブ・ファイト」のエディ・ポン、「ドラゴン・ブレイド」のチェ・シウォン、「サンザシの樹の下で」のショーン・ドウ。
  • 翻訳家

    篠儀直子

    ドキュメンタリーかと見まがうオープニングのあと、ここがクライマックスなんじゃないかと思える迫力のシーンが早くも登場。しかしそれですら序の口で、次々登場するレースシーンの凄さはもう観てもらうしかない。猛烈なスピード感と、その運動にともなって空間が開けていく圧倒的な爽快さ。レースシーンの一貫したリアリティに比べ、のどかな三角関係は最初箸休めみたいに思えるが、思っていたほど単純明快な物語ではないとやがてわかってくる。主人公と母親の関係の描き方も鮮烈。

  • 映画監督

    内藤誠

    世界的に自転車ロードレースのファンは多いらしく、日本のテレビでもツール・ド・フランスの実況などを楽しめるようになった。その大会で連覇を果たしたランス・アームストロングがドーピングをしていたという「疑惑のチャンピオン」も最近公開されたばかり。そこへ台湾各地で連戦し、世界をめざすロードレーサーの物語の登場だが、苛烈なライバル競争とともに資金をめぐる裏話がシリアス。俳優が命がけで迫力はあるものの、けが人続出という宣伝用の記事を読むと、切なくなった。

  • ライター

    平田裕介

    男女問わず出てくる者たちが、どこまでも熱くて爽やかで正々堂々としている。そこにただでさえスピーディーなロードレースの描写が乗っかるので、スイスイと観てしまう。さらに、舞台も台湾南部の高雄や武嶺峠、マッターホルン、韓国の競輪場と、風光明媚な場所から欲望ギラつく場所までグルグルと巡るうえに、主人公にマディソン競技までやらせたりと、飽きさせない。ただし、各キャラの設定や造形がお決まりな感じだし、展開も予定調和ゆえにグイグイとこないのも正直なところ。

1 - 3件表示/全3件