花戦さの映画専門家レビュー一覧
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評論家
上野昻志
飾られる花が美しいので、★ひとつおまけしたが、お話に従えば、野村萬斎と佐藤浩市と市川猿之助の演技合戦を見るのが本筋か。池坊専好を明るいキャラに設定したためか、萬斎が表情に変化をつけすぎるのが、ちょっと気になったが、声も表情も抑え気味の利休=浩市と向き合うと、バランスが取れるし、同じことは、利休と、天下人となった秀吉=猿之助の怒りを含んだ顔や声との間にもいえる。その意味で、事件も含め三者の要は陰の利休にあったことになるが、三國=利休とどっち?
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映画評論家
上島春彦
茶室における、明るい方を背にした千利休の暗い表情を捉えた横顔撮影の見事さにシビれる。この作品はある日織田信長の下にいやいや集結する羽目になった人々の、それから数年後の変転を描く群像劇。そこに「お花」の池坊家がどう関わったか。ちょっと頭が悪いので自分はリーダーの器じゃない、と思い込んでいる主人公専好の設定が面白い。そこを専武がサポートするわけで、こちらも儲け役である。暴君豊臣秀吉に対する利休と専好それぞれの闘い。美少女絵師森川葵も効いてますよ。
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映画評論家
モルモット吉田
大仰な演技と表情で劇を活性化させようとする萬斎を活かしきれていない。萬屋〈柳生〉錦之助と同じく一人だけ浮いているが、この芝居を受けられるのが猿之助と蔵之介らに限定されるのが問題。せっかくクライマックスが前田邸大広間という舞台仕立てになっているのに萬斎の大芝居が不足。主人公の記憶障害が中途半端な扱いで、これによって起きる笑いも泣きも徹しきれず。世情とは無縁に生きた天真爛漫な男が責任ある立場に立たされる苦痛と権力者からの抑圧だけで充分な話なのだが。
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