疾風ロンドの映画専門家レビュー一覧

疾風ロンド

東野圭吾の同名ベストセラー小説を映画化。極秘開発した違法生物兵器が盗まれ3億円を要求されるが、犯人が事故死。回収を託された冴えない研究員・栗林がわずかな手がかりを頼りにスキー場を割り出し生物兵器を探すうちに、予想外の出来事が次々に起こる。監督はバラエティ番組『サラリーマンNEO』や連続テレビ小説『あまちゃん』を手がけた吉田照幸。主演の阿部寛はテレビドラマ『新参者』および「麒麟の翼~劇場版・新参者~」以来の東野作品である。ほか、「クローバー」の大倉忠義、「ロマンス」の大島優子らが出演。
  • 映画評論家

    北川れい子

    どこが“疾風”なんだが。そういえば冒頭、何者かが、雪山の裸の木の1本にクマのぬいぐるみを打ち付け、“サア、ゲームの始まりだ”と薄笑いを浮かべて呟いていたが、ゲームならそれなりのルールやルートがあるはず。がこの映画、それぞれの駒、いやキャラの役目からしてグズグズで、勝手に問題を起こし、あらぬ方向に走って……。ま、“ロンド”とは輪舞曲のこと。テンデンバラバラに踊るのもアリかもしれないが、緊急を要する事件があるのにこの脳天気ぶり、脚本も演出もサイアク!!

  • 映画文筆系フリーライター、退役映写技師

    千浦僚

    雪上場面が良い。スノボで豪快に滑走する大島優子の、グッと突き出されたたくましいお尻が、映像モード新時代のドアをドーンと押し開けようとした。ヌーヴェルヴァーグやアメリカンニューシネマは、それ以前の劇映画でNGと考えられたようなドキュメンタリー的映像を取り込むことで新モードを実現したが、現在ならウェアラブルカメラ映像などがそれに似たものをつくるか。ネヴェルダイン/テイラー「アドレナリン」やロン・ハワード「白鯨との闘い」を連想。本作全体はイマイチ。

  • 映画評論家

    松崎健夫

    〈安楽椅子探偵〉モノは映画化にあまり向いていないと言われている。それは、事件を解決すべき主人公が何らかの理由で動けない状態にあるからだ。そういう意味で、本作の主人公は〈安楽椅子探偵〉なのである。しかし緊張感の緩急が生み出す笑いや、雪上のアクションを畳み掛けることによって、主人公がその場に留まっていることに違和感を持たせない工夫が成されている。フォーカスやアイリスの問題を解消させたGoProによる撮影が思いのほか高画質で、ゲレンデに向いている点も出色。

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