闇金ウシジマくん ザ・ファイナルの映画専門家レビュー一覧

闇金ウシジマくん ザ・ファイナル

違法な高金利で金を貸し付けるアウトローの闇金業者・丑嶋を中心に、金と欲望に翻弄される人間模様をブラックな笑いとともに綴った人気シリーズの完結編。丑嶋の前に、かつての同級生が現れたことをきっかけに、知られざる丑嶋の過去が明らかになってゆく。出演は『勇者ヨシヒコと導かれし七人』の山田孝之、『怒り』の綾野剛、『真田十勇士』の永山絢斗。
  • 映画評論家

    北川れい子

    実のところ、“ウシジマくん”の過去や曰く因縁など、知りたくなかった。これまで通り、彼の非情な闇金ビジネスと、客に対する彼なりのケジメだけで終りにしてほしかった。高利を承知で闇金に駆け込んでくる客たちのそれぞれの事情に世相が窺えたのも大きな理由だし、その事情に合わせたウシジマの対応も充分面白かったし。が今回はウシジマの中学時代の出来事を起因にあれやこれやの恨みやしがらみが描かれ、いまいち痛快感が薄い。ま、過去にこだわる男たちはカワイイと思うが。

  • 映画文筆系フリーライター、退役映写技師

    千浦僚

    劇場版の完結篇らしいが、さほどファイナル感は濃厚ではない。ただ、主人公ウシジマの敵にあたるものは間違いなく最も手強かった。その“敵”とは、彼の性悪説的世界観に真っ向から対立する性善説が幼馴染みの姿を借りて顕れることと、それに彼が心惹かれてしまうこと。自身の規範が揺らぐウシジマは魅力的だった。また、主要登場人物の少年時代の描写とそこに宿る聖性に胸を打つものがあった。現在より純化された彼らの躍動にこそ冷徹な金の力を超えるものがあった。

  • 映画評論家

    松崎健夫

    これを最終作にする必要はない。原作漫画には多くのエピソードが残っているし、いつの時代も人は金に翻弄されるがゆえ題材には事欠かない。例えば『ミナミの帝王』シリーズのように、ウシジマを脇に添えた構成にすれば、時代に合わせた続篇の製作はいくらでもできる。ジャンル映画やシリーズ映画の製作が難くなった昨今、このシリーズは残された砦のひとつのようでもある。それゆえ、ウシジマの出自にはあまり関心を持てず、むしろ描かないことで魅力が増したのではないかとも思う。

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