鋼の錬金術師の映画専門家レビュー一覧
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映画評論家
北川れい子
鎧ボディの弟アルの造形には感心する。イタリアの古都でのロケも効果的。けれども実写化で逆に人間キャラが薄っぺら見え、みな喋る人形みたい。アニメ版のときは、どのキャラクターも同じ重量感で動き回っていたのに。いっそフルCGにした方が良かったのでは。錬金術という中世的なトリックも実写化で電気紙芝居化、ただの見世物映画に終わってしまったような。それぞれのコスチュームにしても、生身の人間が着るとハロウィンの貸衣裳レベル、やっぱりこのハナシは実写に向かない。
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映画文筆系フリーライター、退役映写技師
千浦僚
試写鑑賞時には原作未読だったので東洋人にしか見えない俳優がエドワードとか名乗っているのはモリシゲが『屋根の上のヴァイオリン弾き』をやるようなものかと解釈。公開迫る劇場で無料配布されてた原作漫画第一話目を掲載した冊子を読み、ダブルアクションで今しも撃たれようとするリボルバーの輪胴を横から掴んで発射を阻むという描写に最も感銘を受け、これは絶対行き届いた漫画だろうなあ、と思ったが本作にはそこまでのものはない。有名漫画をとにかく実写化するという事業。
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映画評論家
松崎健夫
魂のみが残り鎧姿となった弟・アルには、当然表情が無い。モーションキャプチャーされているもののCGで描かれたアルに命を吹き込んでいるのは、声優の力量に依るところが大きいように見える。つまり、声の演技が映えていることは、アニメーションで描かれてきたアルとの差異が無いということではないか。また本作は、撮影現場で砂埃や塵を表現するのではなくVFXやCGによる後処理で表現している。実写映画化にもかかわらず、その利点が削がれていると感じさせるのは勿体ない。
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