幸福のアリバイ Pictureの映画専門家レビュー一覧

幸福のアリバイ Picture

「スマイル 聖夜の奇跡」から9年ぶりの監督作となる陣内孝則と、「ディストラクション・ベイビーズ 」の脚本家・喜安浩平がタッグを組んだヒューマンコメディ。葬式、結婚式、出産、成人式など誰もが経験する人生の節目となる冠婚葬祭を軸に、人間模様の表裏に迫る。出演は、「アゲイン 28年目の甲子園」の中井貴一、「踊る大捜査線 THE FINAL 新たなる希望」の柳葉敏郎、「じんじん」の大地康雄、「レインツリーの国」の山崎樹範、「秘密 THE TOP SECRET」の木南晴夏、「バイロケーション」シリーズの浅利陽介、「罪とバス」の渡辺大、「だCOLOR? THE脱獄サバイバル」の佐藤二朗、「くちびるに歌を」の木村多江。
  • 映画評論家

    北川れい子

    人生の節目を5話形式で描いているが、味違いの小ぶりのダンゴの串刺しをチビチビ食べているみたいで、何ひとつ、腹にも心にも溜まらない。5話ともコメディーのつもりのようだが、1話20分ほどでオチまで描こうとするからか、キャラが形式的で、どのパートも薄っぺら。特にシラケたのは5話目の“結婚”で、エキストラの数はそれなりに賑々しいが、ハナシもテンポも間のびして、笑うに笑えない。男のハナシが目立つのは、男の方が節目にこだわるからか。脚本も監督も何をしたかったの!?

  • 映画文筆系フリーライター、退役映写技師

    千浦僚

    試写案内の日時題名のみを薄目で確認し予備的情報をまったく入れず映画を観る術を完成させているのでこのオムニバスの主題が“写真”だと鑑賞の途中で気づく。これは私のオツムが平均以下なことを示すだろうが、一観客として幸福な観かたができた。警察やミステリの専門用語“アリバイ”、この不在証明という概念を人生の幸福について用い、小道具に写真を使う発想に感心。藤原竜也をギャグ化したが如き山崎樹範の芝居が笑える。役者が皆良い。非リアルのフィクション志向も偉い。

  • 映画評論家

    松崎健夫

    報道写真や芸術写真の類いを除けば、“写真”は思い出を記録し、記憶に留めるためのものである。現在進行形の物語において“写真”は、過去を視覚化したものとなるが、同時に“写真”は、思い出そのものでもある。本作はオムニバス形式をとっているが、“写真”という共通のモチーフを用いることで、思い出や記憶・記録のあり方を笑いで梱包しながら多角的に考察してみせている。願わくば「見合い」と「結婚」のエピソードで挟み込んだ構成にした方がよかったのではないかとも思う。

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