マグニフィセント・セブンの映画専門家レビュー一覧

マグニフィセント・セブン

「サウスポー」のアントワーン・フークア監督が、「七人の侍」及び「荒野の七人」を基に現代的視点で描いた西部劇。悪党に町を脅かされ、未亡人のエマは賞金稼ぎのサムらアウトロー7人を雇う。町を守るために立ち上がった彼らの、壮絶な戦いが始まる。賞金稼ぎのサムを演じる「トレーニング デイ」でアカデミー賞を獲得したデンゼル・ワシントンや、ギャンブラーのジョシュ役の「ジュラシック・ワールド」クリス・プラットをはじめ、イーサン・ホーク、イ・ビョンホンら豪華な顔ぶれが揃う。
  • 翻訳家

    篠儀直子

    村に危機→七人雇う→村人を訓練→最終決戦、という形式さえ守れば、状況とキャラクターを替えていくことで、「七人の侍」は面白いバリエーションを無限に作れるのだなあ。黒澤版とスタージェス版にあった、村人の両義性やトリックスターの存在は省き、アクション映画としての面白さを追求。最終決戦をスペクタクル性豊かにたっぷり時間をかけて見せる。いかにも現代の映画らしい民族構成の七人はみなかっこいいが、とりわけネイティブ・アメリカンの若者が弓を引く姿の美しさに感動。

  • 映画監督

    内藤誠

    ご存じの物語構成なので、細部に工夫が凝らされている。まず七人の勇者たちが多人種であることを強調しているのが現代に通じ、そのことで個々の挿話も面白くなっていく。デンゼル・ワシントンが「荒野の七人」のユル・ブリンナーと違った風格をみせ、スタッフ、キャストともに気合の入った仕事ぶりで、終始、あきさせない。それにしても、悪の権化たるピーター・サースガードの命令で虫けらのごとく人がばたばた殺されていくのを何度も見せられると、アメリカという国まで怖くなる。

  • ライター

    平田裕介

    イーサン・ホークの役がロバート・ヴォーンに当たるのかなど、途中までいろいろ考えながら鑑賞。だが、ムードとしては「荒野の七人」だけでなく、「続~」「新~」「~荒野の決闘」のシリーズ全作をひっくるめてのリブートといった感じ。とにかく個性ある7人を集め、各々の得意技が発揮される見せ場をきっちり用意、ドンパチはド派手を極めてという娯楽至上主義な作りで最後まで飽きることはなし。とどめとばかりにエルマー・バーンスタインのあの曲もかかり、なんだかんだ燃えてしまう。

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