きょうのキラ君の映画専門家レビュー一覧
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映画評論家
北川れい子
映画化される学園コミックのほとんどが、授業の休み時間と学校への往き帰り、放課後だけで成り立っている。そうか、授業中は全員、死んでる状態なのね。しかも生きてる時間は男女のことしか関心がない。あ、いじめもあるか。ま、中学生女子向きに作られた作品に嫌味を言うのも何だが、作っているのはプロの大人、現場の苦労を思ったりも。それにしても“貞子”ふうに目を隠したイジケ女子の、イジケとは無縁のお節介と、キラ君のヒミツにはおいおい!! もう好き勝手やって。
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映画文筆系フリーライター、退役映写技師
千浦僚
飯豊まりえがよかった。最近の私の若い女優への「よかった」は娘に対するような感覚だ。この映画で安田顕演じる父親は何かフランス系のことをやる学者らしくそれに引っ張られた家庭のセンスから飯豊のファッションもリセエンヌふうで、それが彼女の風貌と合っていてよかった。黒ギャルが自分の娘だとつらいわ。つまり安田にアイデンティファイ、だから余命いくばくもない男と娘の交際を禁じる件はよくわかる。家庭こそ諸悪の根源。だが映画とヒロインは、それを乗り越えてゆけ!
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映画評論家
松崎健夫
舞台は横浜と思われる。それゆえ、ダイナーや教会など洋風な匂いが全篇に漂っている。しかし同時に、画面から和風なものをあえて極力排除することによって、全体のトーンを整えようとしていることも窺える。また、ともすればつまらない脇役になってしまう恋敵役ながら、抜群の破壊力を発揮する平祐奈。誰かのために何かをすることは、自分の時間を相手のために使うことでもある。その相手が残り僅かの時間を過ごしている。だからからこそ、本作ではそれが尊い行為に思えるのである。
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