きみの声をとどけたいの映画専門家レビュー一覧
きみの声をとどけたい
オーディションを勝ち抜いた新人声優6人で結成されたユニット“NOW ON AIR”が声の出演をした青春アニメーション。将来の夢が見つからずに焦る女子高生の行合なぎさが、何年も使われていないミニFM局に迷い込み、DJの真似事をしたところ……。「時をかける少女」、『ちはやふる』のマッドハウスが制作を担当し、『オーバーロード』の伊藤尚往が監督を務める。
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評論家
上野昻志
最初からアニメーションの企画として始まっているものを、だから良かったね、というのも妙なものだが、それが正直な感想。これが実写だったら、まともに付き合うのが辛かったろうと思う。架空の町に実在の場所を取り込んだ背景にしても、これをロケでやろうとしたら大変なことになるし、登場する7人の女の子にしても、生身の女優だったら、それぞれのキャラの違いを出せなかっただろう。話のポイントはミニFMにあるが、アニメならでは威力が発揮されたのは、寺での合唱シーンだ。
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映画評論家
上島春彦
いいんだけどね、何かそれ以上ではない、という印象が残る。テーマが言霊、と最初に分かった分、最後の流れ方とオチまでそれで分かってしまうというか。ただしコミュニティのFM放送というツールは面白い。またクライマックス、境内のコンサートで歌い手から次の歌い手への受け渡しを丹念にショットの連鎖で構成する絵コンテの手際の良さは認めたい。だが物語の展開は粗い。大事なことを知っていて、それを皆には知らせず、知られると逆ギレし開き直るキャラってどうなんでしょう。
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映画評論家
モルモット吉田
これが今のアニメなのだから、どうこう言う方が野暮というものだろうが、いきなりクライマックスみたいに主題歌が流れっぱなしのアバンタイトルで独り合点な台詞を主人公が鐘の中に頭を突っ込んで叫んでいたりすると、もうどう観ていいのやら。全篇にわたって主人公の思慮がなさすぎて愛嬌のあるバカに思えず。コトダマの連呼といい、葛藤となるべき箇所を尽く台詞で済ませてしまう作劇といいLINEでライブ配信が出来る時代にミニFMを使う話を作る戦略も見えず疲弊困憊する。
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