キング・アーサー(2017)の映画専門家レビュー一覧
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翻訳家
篠儀直子
時代考証など期待してはならない完全な無国籍・無歴史映画。でも何にもましてこれはガイ・リッチー映画であり、しかもどのガイ・リッチー映画にもましてガチャガチャと落ち着きがない。これをかっこいいと評する見方もあるのだろうが、アクションをきちんと見せる意志はないようだし、サスペンスが演出されているわけでもないので、正直、何をどう面白がればいいのかわからず。カメオ出演のベッカムもあれだが、そもそもアーサー役の俳優は、ほんとうにこの人で正しかったのだろうか。
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映画監督
内藤誠
シャーロック・ホームズものに続き、ガイ・リッチー監督らしいタッチで、イギリスの古い物語を映画化。現在に比べ、アーサー王の時代には人間と魔術師の付き合いが、もっと濃密だったという視点で描き切っていて、大蛇を這わせている巨体の女や大鷲を操る魔女の妖しい眼が怪奇で、映像として引き立つ。アーサー王が育つ貧しい路地裏と高い塔をもつ城の美術がみごとで、音響効果とともに想像をかきたてる。悪役の王ジュード・ロウもさすがだが、周辺の登場人物だけは描き足りない。
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ライター
平田裕介
アーサー王をストリート育ちのワル風キャラにしたり、カンフーを盛り込んでみたりと、これまでと違った“アーサー王伝説”にしようとするガイ・リッチーの気骨は買いたい。だが、アーサーはオラオラ系にしか見えず、肉弾戦も剣戟もユルく、結局のところ見せ場はVFXに頼ったスペクタクルでファンタスティックなものになっており、いたく中途半端なノリに。こうなると、お馴染みにして肝心の聖剣エクスカリバーを引き抜く場面もスルゥ~と簡単に抜けてしまっているように見える。
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