君の膵臓をたべたい(2017)の映画専門家レビュー一覧

君の膵臓をたべたい(2017)

住野よるの同名ベストセラー小説を「君と100回目の恋」の月川翔監督が映画化。女子高生・桜良が密かに綴る闘病日記を偶然見つけた同級生の僕は、彼女が膵臓の病気で余命わずかなことを知る。12年後、母校の教師となった僕は桜良との日々を思い出していた……。出演は「咲 Saki」の浜辺美波、「あやしい彼女」の北村匠海、「破門 ふたりのヤクビョーガミ」の北川景子、「追憶」の小栗旬、「金メダル男」の大友花恋。脚本を「ぼくは明日、昨日のきみとデートする」の吉田智子が務める。
  • 評論家

    上野昻志

    不治の病を持つ少女と孤独を好む少年の「愛」。それはいい。シナリオが原作にない12年後の現在を加えた、というのも良しとしよう。小栗旬扮する、教師の仕事に馴染めない「僕」が、母校の因縁深い図書の整理をする……までは納得。そこに教え子の図書委員がいるのはいいが、これが何故か、12年前の彼と桜良(浜辺美波)の関係を知っているようで、時に訳知りめいた意見まで口にするのは、なんとも奇妙。彼は、二人の秘められた関係を誰に聞いたのか?原作を読んでいた!?

  • 映画評論家

    上島春彦

    オタク系妄想映画だが、私はオタクだから文句をつける筋合いはない。お姫様ダッコのくだりは羨ましさに身をよじった。おまけに星一つ足す。でもオタク以外の観客の皆さまにこれを勧められる気がしない。様々な書店大賞受賞歴にあっけにとられるものの、話がすかすか。通り魔の件ははしょったのかな。はしょるなら、ない方がいい。やり方はあったはずだが。回想でさらさらと進めたのは正解で、ウェディングドレス姿は現在の北川嬢へのご祝儀なんだろう。収穫は主演浜辺美波に尽きる。

  • 映画評論家

    モルモット吉田

    変わり映えしない難病催涙映画と思いきやジャンル批評的構造を持っている。主人公は本題に「カリバニズムかよ」とツッコミ、ヒロインは「死期が迫るヒロインを外に連れ出す奴は殺したも同然」と言ってのける。主人公が穏健な性格の図書委員で不必要に若さを強調せず、バカじゃないのも珍しい。「ディストラクション・ベイビーズ」で新人賞に推せないのを悔やんだ北村は好演だが純朴すぎる役はやや不似合い。浜辺美波の落ち着き払った雰囲気は宮﨑あおいに匹敵する大器の予感あり。

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