プラネタリウム(2016)の映画専門家レビュー一覧
プラネタリウム(2016)
ジョニー・デップの娘リリー=ローズ・デップがナタリー・ポートマンと姉妹役で共演。1930年代、パリに来たアメリカ人心霊術師の姉妹ローラとケイトは、降霊術ショーを開き華々しく活躍。しかし映画プロデユーサーのコルベンと出会い、運命が狂い始める。「美しい棘」のレベッカ・ズロトヴスキ監督が、スピリチュアリズムの先駆けと言われるフォックス姉妹と、1920~30年代に「最後の戦闘機」など多くの作品を送り出したフランスの映画プロデューサー、ベルナール・ナタンをモデルに、美しくも儚い姉妹の運命を映し出す。第73回ヴェネチア国際映画祭にてワールドプレミア上映された。
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映像演出、映画評論
荻野洋一
主題が一貫せず、飽きっぽい作者の気分に受け手側も翻弄される。序盤を妖しく引っ張った降霊術ミステリーは、映画の後半ではどうでもよくなってしまう。そしてそのあやふやさを、美しき2女優はじめ圧倒的なキャスティングで吹き飛ばしてしまうのである。こんな映画の作り方もあるものだろうかと感心した。映画に真の心霊を写すという妄想に取り憑かれたユダヤ系プロデューサーの役を、A・デプレシャン監督「魂を救え!」(92)のE・サランジェが演じるのは示唆的だ。
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脚本家
北里宇一郎
降霊術を披露する美人姉妹。彼女たちに魅せられた映画プロデューサー。時は1930年代、トーキー勃興期。道具立てはこちらの好みに満ち溢れて。ところが妹が呼びだした霊を映画に写し取ろうという試み。それと女優として売り出そうとする姉の話。この2つがうまく溶け合わない。そこにプロデューサーのユダヤ人差別まで絡ませては、映画は混乱するばかり。その材料の一つ一つが面白いだけに、この脚本設計の失敗は勿体ない。せっかくの女優たちの魅力もこれでは発揮されず。残念。
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映画ライター
中西愛子
1930年代のパリ。アメリカ人スピリチュアリストの美人姉妹が、フランスの映画プロデューサーに出会い、映画界に踏み込む。いずれも実在の人物をモデルにしているようだが、当時、新興の芸術にしてテクノロジーだった映画と、心霊という怪しげなものを接近させようとする発想、その異界に憑かれていく男の様に着目した点は、興味深かった。が、後半、収拾がつかなくなるのはどうしたことか。ナタリー・ポートマン&リリー=ローズ・デップ、華麗な美のツーショットが嬉しい。
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