アントマン・アンド・ワスプ(仮題)の映画専門家レビュー一覧

  • 翻訳家

    篠儀直子

    敵も味方も和気あいあいでじゃれ合っているかのような至福のユートピア。寄るとさわるとトンチキなやり取りが始まるのだが、それで映画の流れが止まるどころか、ますますグルーヴ感が増していく。一定の家族像を押しつけるのではなく、家族の形はみなそれぞれだという前提で、複数の家族の物語がからみ合って進むのも面白い。人好きのする魅力を発揮しまくるP・ラッドを中心に、ベテラン大スター3人を配したキャスティングも絶妙。それにしてもこの終わり方は続きが気になりすぎる!

  • 映画監督

    内藤誠

    人間や物体のサイズを自由に変化させて戦うというアイデアを映像化してみせるマーベルスタジオの技術が楽しめる。アントマン(ポール・ラッド)とワスプ(エヴァンジェリン・リリー)のコンビが動きもよく、コメディのセンスもあり、脇役のマイケル・ダグラスやミシェル・ファイファーたちも子どもが玩具で遊ぶみたいな話を脇からしっかり支えている。ただ、あらゆるものをすり抜けながら攻めてくる、美女ゴースト(ハンナ・ジョン・カメン)のキャラクターなどは綿密に描いてほしい。

  • ライター

    平田裕介

    シリーズの肝であるから当たり前なのだが、ミクロ化もマクロ化も可能というアントマンの能力を存分に活かしたアクション、スリル、笑いの構築は本当にお見事。悪を討つより“盗って盗られて”に主眼を置いたケイパー・ムービー+アメコミ・ムービーの妙味も薄まっておらず、泥棒仲間たちとの軽妙なやりとりも健在だが、そちらに頑張りすぎてゴーストのキャラ造形や背景がやや甘くなっている点も。ポール・ラッドがどこまで手掛けたが判らぬが、脚本家としての非凡な才能に感服。

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