ブラック・ファイル 野心の代償の映画専門家レビュー一覧
ブラック・ファイル 野心の代償
「セイフ ヘイヴン」のジョシュ・デュアメル主演のサスペンス。巨大製薬会社による薬害問題の証拠を探る野心家の若手弁護士ケイヒルは、金髪の美女から機密の臨床ファイルを受け取る。しかしその出会いをきっかけに、予想もつかない展開に巻き込まれていく。出演は、「セント・オブ・ウーマン 夢の香り」のアル・パチーノ、「羊たちの沈黙」のアンソニー・ホプキンス、「ターミネーター 新起動/ジェニシス」のイ・ビョンホン。監督は、本作が監督デビューとなるシモサワ・シンタロウ。
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翻訳家
篠儀直子
とびきりヤバいファム・ファタルが登場し、セックスとバイオレンスが物語を駆動する、フィルムノワールのエッセンスが詰まった映画。その一方、穴だらけでぎくしゃくした変な構成なのだが、ほんとうに面白いのは、この監督が明らかにハリウッドのメインストリームとは違う映画にしようとしているところ。意識的なフレーム使いや窓越しのショット、外連味たっぷりのキャメラの回転など、あの監督やこの監督を思い出す。殺し屋イ・ビョンホンが肺病病みだったりの妙な細部も気になる。
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映画監督
内藤誠
9・11以後、文学も映画も内面の怯えを表現するものが多いけれど、日系アメリカ人監督のデビュー長篇もまた娯楽作品ながら、登場人物のすべてが影を持って生きている。ホプキンス、パチーノ、ビョンホンが脇を固めると、主演のデュアメルの二枚目ぶりが損な役どころになってしまい、実はこうだったという謎解きも鼻につくのだが、クスリと銃と突然のテロがあり、弁護士と医者の夫婦でさえ、平穏無事には生活できないという現実がよく描かれていたので、次回作を期待、高点をつける。
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ライター
平田裕介
グッドルッキングガイであるのは間違いないが、なんとも個性がないというか響くものがないJ・デュアメルが主演。心配になったものの、A・ホプキンスとA・パチーノ扮する怪物キャラに翻弄されまくる役柄を演じるという点では、そのペラペラ感が功を奏してなかなかのハマりぶりを見せる。ストーリーも「ザ・ファーム/法律事務所」に「ゴーン・ガール」を掛け合わせてみましたな感じで真新しくもないが、前述の御大ふたりがやたらと引っ張るし、さらっていくので最後まで観てしまう。
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