亜人の映画専門家レビュー一覧

亜人

桜井画門原作の同名漫画を「るろうに剣心」シリーズの佐藤健、「踊る大捜査線」シリーズの本広克行監督で映画化。不死身の新人類・亜人であることが発覚した圭は、研究施設に監禁される。そんな圭に、国家転覆を謀る亜人のテロリスト・佐藤が手を差し伸べる。出演は、「新宿スワン」シリーズの綾野剛、「ルパン三世」の玉山鉄二、「明烏 あけがらす」の城田優、「暗黒女子」の千葉雄大、「デスノート Light up the NEW world」の川栄李奈、「トモダチゲーム 劇場版」の山田裕貴、「君の膵臓をたべたい」の浜辺美波。
  • 映画評論家

    北川れい子

    VFXを使ったテロのシーンや、“亜人”の分身的な黒い粒子の物体同士が戦うくだりなど、おおっ、と思う場面がいくつもある。そもそも“亜人”なる新人類が出現したという設定自体、何やら暗示的。不死身のヒーローということでは、先行した「無限の住人」の木村拓哉を連想するが、ぶった斬りオンリーだったあの主人公に比べ、こちらは政治や文明批判も抜かりなく、役者を生かしたアクションも観応えある。終盤で「シン・ゴジラ」を使っていたのはニヤリ。続篇もありかも。

  • 映画文筆系フリーライター、退役映写技師

    千浦僚

    原作は漫画誌で見かけたぐらい、薄い基本設定知識だけでこの映画を観て、即座に原作を最新刊まで読んだ。面白いことを考える! 漫画って進歩してる。ヴァン・ヴォークトによるSFの古典「非Aの世界」と「ジョジョの奇妙な冒険」の“スタンド”がインスパイア源だろうが、どうなるのこれ、と思わせ続ける勢いがある。私は映画版「ジョジョ」もまあ観れたが、それと比較して原作忠実度の低い本作のほうが楽しかった。佐藤、綾野の肉体、アクションが翻案を成立させたのだ。

  • 映画評論家

    松崎健夫

    この物語は、マイノリティの権利や主張・立場を守るために暴力を行使することをよしとしない。リセットすることで人生をやり直せるという設定はテレビゲームのようだが、同時にそれはマイノリティであることから逃れられない無間地獄のようでもある。「登場人物の背景が描かれていない」という揶揄も上等、本作では無駄を削ぎ落とすことで物語が鋭敏に展開してゆく。鑑賞後は数々の疑問も過るのだが、アクション映画はこのくらい簡潔で良いのではないかと思わせるに至るのであった。

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