星くず兄弟の新たな伝説の映画専門家レビュー一覧

星くず兄弟の新たな伝説

1985年に公開された近田春夫原案×手塚眞監督によるロック・ミュージカル「星くず兄弟の伝説」から30年、同コンビが再タッグを組み復活。かつて“スターダスト・ブラザーズ”として一世を風靡したカンとシンゴは、再びスターになることを夢見て月世界へと旅立つ。出演は「るろうに剣心 京都大火編/伝説の最期編」の三浦涼介、「光と禿」の武田航平、「夏ノ日、君ノ声」の荒川ちか、「星くず兄弟の伝説」の高木完、久保田慎吾、ISSAY、「霊眼探偵カルテット」の藤谷慶太朗、「陽だまりの彼女」の夏木マリ、「八重子のハミング」の井上順。脚本は、手塚眞と「罪とか罰とか」のケラリーノ・サンドロヴィッチ。
  • 映画評論家

    北川れい子

    30年前のオモチャ箱をひっくり返し、キャラやアイデアにより遊びを加えた21世紀版の“新たなる伝説”に乾杯したい。そう、こういう映画こそ“映画の特権”、無茶苦茶さの中に、ロックと映画への愛が溢れているのも嬉しい。しかもチープさや紋切型のキャラに愛嬌があり、いや、この作品ではそれが“リアル”として違和感がない。クセのある俳優陣のらしい登場もくすぐったく、中でも夏木マリはドンピシャ。万人向きの作品ではないかもしれないが、手造り一点ものの映画として万才!!

  • 映画文筆系フリーライター、退役映写技師

    千浦僚

    旦那芸といえば階級から吹き降ろされる夜郎自大に鼻持ちならぬ思いをさせられることだが、稀に芸がそんなに悪くない旦那もいるだろうし、文士劇のようなものが持ちうる良さというのもある。うわっ、と声が出そうな胡乱な場面と、美術や小ネタなどの細部の良さが入り乱れて押し寄せた。ただ音楽の良さだけは調子を下げず続いた。なんとなく曲がかかってひとが踊るとか、気のきかない音が鳴ることはなかった。隙だらけでひどいが結局好きだ。兄弟が女になるところや内田裕也とか。

  • 映画評論家

    松崎健夫

    前作から32年、「ブレードランナー」に続いてまさかの続篇である。時代は経たものの、前作の持っていた“トキワ荘”的な精神が本作の基盤となっている。手塚眞と同時代を生きてきた映画人やミュージシャン、文化人たち。彼らは前作同様、大挙して画面の隅々に登場し、同時代を生きてきたという証を映像に刻み込んでいる。これを楽屋落ちや内輪話と捉えるか否かで評価は変わるかも知れないが、斯様な荒唐無稽で出鱈目なロックミュージカルは「もはや夢」と思わせる寂寞がある。

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