おとなの事情の映画専門家レビュー一覧
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翻訳家
篠儀直子
やったところで愉快な結果になるわけがないのだから、こんなゲームを始めようという神経がそもそも理解不能だが、あえて「もしも」やってみたらどうなるかという前提で始まる映画。でも、脚本に仕掛けられたこのトリックを、評価するかどうかは意見が分かれるところだろう。限られた空間を上手に使った演出。アウティングの問題を深く考えさせるくだりが個人的には印象に残ったが、7人の登場人物のうちの誰に最も感情移入できるかなど、グループで観に行くと鑑賞後に盛り上がりそう。
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映画監督
内藤誠
日本の映画鑑賞の環境はよくて、この作品もよくぞ輸入してくれたと思った。親しい者どうしが集まるホームパーティが舞台で、三一致の法則によるイタリアのコメディ。筒井康隆の「スタア」を監督したものの目からすると、演劇的ではなく、日常的な会話が続くので、どうなることかと心配したが、やがて携帯電話を巡っててんやわんや。くれぐれも自分には隠し立てする秘密はないと言ってはいけないという教訓劇。誰しも思い当たるところがあるのは五人の脚本家が知恵を出したせいだ。
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ライター
平田裕介
原題がスバリそのものとなっているが、なにもかも知っているつもりの親友も家族も結局のところは秘密を抱え込んだ“見知らぬ人”である。そうしたテーマとスマートフォンを使ったやりとりはさほど目新しいものとは思えないが、サスペンスフルな演出は冴えに冴えており、明らかにされる秘密もグサグサ刺さるものばかりで、ラストまで持っていかれっぱなし。さも軽妙な大人向けコメディのような日本題とキー・ビジュアルだが、それを鵜呑みにすると痛い目に遭う密室劇だと思う。
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