ボン・ボヤージュ 家族旅行は大暴走の映画専門家レビュー一覧

ボン・ボヤージュ 家族旅行は大暴走

「世界の果てまでヒャッハー!」のニコラ・ブナム監督が、ハプニングに見舞われた家族旅行を取り上げたコメディー。コックス一家は自慢の新車でバカンスに出かけるが、ブレーキが故障して車は高速道路を暴走。絶体絶命の危機の中、家族の秘密も明かされ……。「フレンチ・ラン」のジョゼ・ガルシア扮する整形外科医の父・トムや、「パリよ、永遠に」のアンドレ・デュソリエ扮する振られてばかりの祖父ら個性豊かな家族たちが、次々に起こる思わぬ事態にパニックに陥る。
  • 翻訳家

    篠儀直子

    序盤はひたすらまぜっかえしが続き(行動するたびろくなことにならないおじいちゃんの役が、アンドレ・デュソリエ!)、人によっては我慢ならなくなるかもだけど、暴走が始まってからはがぜん面白くなる。状況的には「スピード」や「アンストッパブル」と同じで、実際、スピード感やスリルの演出はそこそこ巧い。バカ映画にくくられる作品ばかりを撮っているから軽視されがちだが、前作でもアイディアを次々展開する手腕に感心させられたし、もしかしたらすごい監督なのかもしれない?

  • 映画監督

    内藤誠

    高速道路の車の運転に関して、考えつくかぎりのイヤなことを全篇にちりばめたブラック・コメディ。車の各種機能が進歩した現在、あり得ないことではないので、キートンの現代版だと思いながらも、心から笑えず、肩がこってしまった。CGに頼らず、よくここまで撮影したものだとスラップスティック精神に脱帽したところも多い。フランスの名作を支えたアンドレ・デュソリエがジョゼ・ガルシアを相手に老骨に鞭打っている姿に感激、「世界の果てまでヒャッハー!」より高点にする。

  • ライター

    平田裕介

    快作「ヒャッハー!」シリーズの監督コンビの片方ニコラ・ブナムが撮っており、設定も個人的に好物である「ホリデーロード4000キロ」的で期待大。だったのだが、繰り出されるギャグは過激さ皆無でベタベタ全開、登場するキャラクターも大人しい連中ばかりで凡庸なコメディとしか感じられず。だが、本作のおかげで「ヒャッハー!」監督のもう片方フィリップ・ラショーが非凡であることが判明した。カー・スタントの数々は、地味ながらもけっこう凄いことをやっていてこっそり燃えた。

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