ウィーナー 懲りない男の選挙ウォーズの映画専門家レビュー一覧

ウィーナー 懲りない男の選挙ウォーズ

性的スキャンダルで全米の注目を集めた若手政治家アンソニー・ウィーナーに密着したドキュメンタリー。2011年、誤ってtwitterに自分の卑猥な写真を投稿し、辞職に追い込まれたウィーナーは2年後、再起を賭けてニューヨーク市長選に挑むが……。メガホンを取ったのは、ウィーナーの選挙スタッフとして働いた経験を持ち、本作が長編ドキュメンタリー初監督となるジョシュ・クリーグマンと、テレビドキュメンタリーなどを手掛けてきたエリース・スタインバーグ。
  • 映像演出、映画評論

    荻野洋一

    「逆行」が擬似ドキュメント風なら、こちらは逆にフィクションまがいのドキュメンタリーだ。冒頭で主人公のウィーナー氏がインタビューの合間に見せる鬱勃たる表情を見た瞬間、「え、これ劇映画だったの?」と、思わず手元の紙資料を見直してしまった。それほどこのウィーナーという人物はフィクショナルな存在だ。SNSへの2度にわたる猥褻写真の誤投稿によって、2度も政治生命を絶たれるという馬鹿げた事件。大統領選のトランプ勝利が民主党の敵失だという説を裏づける内容だ。

  • 脚本家

    北里宇一郎

    作り手は、過去のスキャンダルを乗り越えて、ニューヨーク市長選に挑む男の姿を描こうとしたんだろうなあ。ところがまた思わぬトラブルが起こって。いやもう途方に暮れる映画スタッフの顔が眼に浮かぶようで。マスコミ陣は格好の餌食とばかり男とその妻を追いかける。その大騒動ぶりに作り手の報道批判が窺えて。なんかこれ、森達也の映画みたい。けど森が、執拗に撮影対象者の内面に迫ろうとするのに較べ、こちらは客観の視点に徹し続ける。その距離の置き方が食い足りなくもあり。

  • 映画ライター

    中西愛子

    2011年、自身のツイッターで、とある性癖証拠を拡散してしまい、失職した元下院議員アンソニー・ウィーナー。2年後、再起を懸けてNY市長選に立候補する日々にカメラが密着する。が、彼はまたやらかす。実績と人気を誇っていた政治家の転落劇は、もはやアメリカ中のエンタテインメント。その一部始終に?然。しかも本作は最中にある当事者の裏も表も赤裸々に見せるから凄い。不甲斐ない夫のそばで憮然と佇む妻。「FAKE」もそうだったが、妻の腹の中が謎めいていて何ともコワい。

1 - 3件表示/全3件